橋本愛×渡辺大知対談
――脚本を読んだ感想は?
橋本:原作の核の部分と言いますか、大事なものを軸として、最初から最後までちゃんと保てている感じがして、原作ファンであり小説が好きな身としてはきっと良い作品になるだろうなという期待がありました。
渡辺:読み物として、すごく面白かったです。淡々としているし、何てことない会話で成り立っている世界なのですが、閉塞感や寂しさのようなものが目に飛び込んで来て。瑞々しさのある脚本だなと思いました。
橋本:登場人物たちは、みんな結構停滞しているんです。あらかじめ失われていて何も持っていない。車は持っているからどこにでも行けるんだけど、行けなかったりして。
ずっと同じ場所でグルグル回っているような感じが、大きく救われるでもなく“迎えに来て”というタイトル通り、誰かが王子様のごとく現れて引っ張り出してくれるわけでもない。
でも、自分は自分として前向きに生きていく。痛いまま終わることはない地味な救いが好きです。
渡辺:行きたいけど行く場所がないという感じは、すごく分かりますね。でも、どこかキラキラして見えるんですよ。自分の地元もそうだったので、感情移入できました。
橋本:群像劇ということもあって、みんなが粒立って輝けたらいいなと。皆さんすてきな役者さんばかりなので、自分のところが埋もれないように、地味な中でみんなが光っている。そんな光をちゃんと出したいなと思いました。
渡辺:夏なんだけど、ちょっとジメっとしているような生温かい質感とか、温度や匂い、色などが浮かんでくる脚本の最初の印象を大事にしたいなと思いました。
だから、僕の場合は脚本を読んでから原作という順番。あの原作がこうなるんだという驚きがありますし、その原作の大事な部分がしっかりと映像に落とし込まれているんじゃないかなと思っています。
――自身が演じたキャラクターの気になるところは?
橋本:「私」と椎名くん(成田凌)の距離感は謎でした(笑)。椎名くんに対して特に執着していないし「私」にとって憧れのヒ-ロー、スターみたいな感じでもない。
だけど、大人になって「あ、何か会いたい。会っとくか」という興味は心のどこかに残っている。物語の最後で椎名くんからあることを言われるんですけど「それなりにショックを受けてしまうほどの存在って何だろう?」と思いました。
――高校時代から「私」と椎名くんの距離感は不思議でしたよね。
橋本:椎名くんから「ゲーセン、行こう」って言われた時、サツキちゃん(柳ゆり菜)はめっちゃうれしそうなんです。
「私」の場合はそこまで興味があるわけではないんだけど、椎名くんと一緒にいるその時が唯一の青春のキラキラした時間として自分の中に残っていたりして。その距離感は、すごく不思議でしたね。
――椎名くんの彼女に見られて喜んでいるシーンも!?
橋本:「うれしい!」なんて言っていましたよね(笑)。あれは鏡でしかないんです。自己愛みたいなもの。椎名くんを見ながら自分を見ている。「私」は、そんな感じの人なんです。
でも、あのセリフは衝撃的でした。演じていて、よく分からないなって思いながらも、すごくうれしかった記憶があります(笑)。
何か心がときめいたことを覚えています。ある意味、名前のなかった花に名前が付いたみたいな感覚。かりそめと分かっているけど、一瞬でもいいからその名前を味わわせてほしいと思いました。
2018年10月19日(金)より全国公開
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