バンド・首振りDollsの生み出すロックンロールの素晴らしさ
首振りDolls———。
今年の4月にキングレコードからアルバム『真夜中の徘徊者~ミッドナイトランブラー』でメジャーデビューを果たした彼らは、北九州出身北九州在住のロックン・ロールバンドである。
首振りDollsのメンバーは、ハードコアやロックン・ロール、昭和歌謡をルーツとし、寺山修司、江戸川乱歩、夢野久作を愛読する文学青年でもあるメインコンポーザーとして楽曲と歌詞を手掛けるドラムボーカル担当のnaoと、KISSやAC/DC、AEROSMITH 、New York Dolls やグラム・ロックをルーツとして上げ、そこへのリスペクトを感じさせるいなたく奥行きのあるギターサウンドを響かせるギタリストのJohnny Diamondと、洋楽のハード・ロックやヘヴィ・メタルがルーツであると聞いて納得のスキルと緻密な運指で華やかにサウンドを彩るベースの
Johnだ(※12日のワンマンライヴはサポートギターとしてRakuカワサキとVJを担当したTRASH ART WORKSが参加)。
近年、“ミクスチャー”という都合のいい言葉に乗っかり、同期で塗りつぶされ生のバンドサウンドが掻き消されてしまっている音楽が数多くシーンに溢れることを少し残念の思っていた中で、彼らの音は実に生々しく、ロック特有の如何わしさを、これ見よがしに見せつけてくるのである。
2018年10月12日。彼らは大阪FANDANGOで、5月に行われていたメジャーアルバムを引っ提げた全国ツアー『MIDNIGHT COLORS -真夜中の極彩夢-』の追加公演を行った。九州バンドの首振りDollsが活動を始めたばかりの頃から、その音楽性の高さと音楽に対する真っ直ぐな想いを高く買い、積極的に受け入れてくれていたのが、大阪FANDANGOだったのだという。
ライヴはオープニングSEであるThe Zaniesの「The Mad Scientist」が会場に響きわたると、下手にある階段からメンバーが勢い良くステージに流れ込んだ。
JohnnyとJohnがステージの定位置に付き、ステージから身を乗り出してオーディエンスを煽り、naoがいつもの香水の香りを漂わせながらゆっくりと階段を降り、ステージ中央にセッティングされたドラムセットの前に腰を下ろした。フロアに残された残り香がオーディエンスを欲情させる中、naoのシャウトと力強いドラミングから1曲目に選ばれていた「ティーネイジ」が放たれた。インディーズアルバムのオープニングを飾っていたこの曲は、激しくいなたいロックン・ロールナンバーだ。サウンドに絡み付く渦を巻くような極彩色のVJが毒々しくメンバーを包み込み、いつも以上に色濃く提示された首振りDollsの世界観がオーディエンスをロックン・ロールSHOWへと誘った。曲は「金輪罪」へと繋げられていった。怨念をも感じる狂気が実に上手くサウンドに落とし込まれた攻め曲に、オーディエンスは力強い拳を振り上げて応えた。プレイ中に体を反らせ、揃ってネックを上げるJohnnyとJohn。ガレージなサウンド感に女性以上に女性の性を唄った歌詞が乗った「赤ヰ猫」や「猫騙し」は、レトロな昭和歌謡の香りが色濃く絡み付く切なさが聴き手の胸を締め付けていく。女言葉で唄われるnaoの歌詞も首振りDollsの大きな魅力の1つと言っていい。淫靡ながらもとことん純粋な愛を感じさせるnaoの感性は、彼の哀愁を佩びた声で唄われることによって、さらに聴き手を引き込んでいく。Johnnyと
Johnとnaoの音で構築されるいなたいサウンドと哀愁を佩びた声を武器とする唄声とシャウト。その絶妙なバランスが首振りDollsというロックン・ロールSHOWを作り上げていくのだ。
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