映画「告白」、「悪人」、「モテキ」、「君の名は。」など、数多くの映画を企画・プロデュースしている川村元気氏。そんな川村氏が執筆した2作目の長編小説「億男」が、佐藤健と高橋一生の共演で映画化された(全国公開中)。
映画プロデューサーとして華々しい活躍をする傍ら、「世界から猫が消えたなら」「億男」「四月になれば彼女は」と小説執筆にも精力的に取り組む川村氏。実は、NHK Eテレで放送中の「オドモTV」にも総合指導として携わっている。
オールマイティーに活躍する川村氏に、映画、小説、テレビそれぞれへの向き合い方や、今後の展望などを聞いた。
新しい表現を求めて
──川村さんがテレビ番組の総合指導をされているのは、少し意外な気もします。「オドモTV」に携わることになった、経緯を教えてください。
佐藤雅彦さんが作られている「ピタゴラスイッチ」(NHK Eテレ)が大好きで。佐藤雅彦さんと企画の話をしているうちに、映画を共同で監督することになりました。その映画「Duality」(邦題「どちらかを選んだのかはわからないが、どちらかを選んだことははっきりしている」)が、カンヌ国際映画祭の短編コンペティション部門に出品されたんです。
映画を作っているあいだ佐藤さんと時間を共にする中で、自分も教育番組のようなものを作ってみたいと思うようになりました。でも、子どもだけに向けた番組を作る気はなくて、“子どもから何かをもらって大人が作る”ことが、新しい表現につながるんじゃないかと思ったんです。
Eテレの場合、“子どもとどう接するか”というのがポイントとしてある。学校や公園と同じように、表現者にとってはEテレが集まって何かを作る“場所”になると思ったんです。それをNHKの河瀬大作プロデューサーが面白がってくれて始まったのが、「オドモTV」でした。
──子どもの“自由すぎる”アイデアに一流のクリエーターが本気で向き合う「オドモTV」は、独特な世界観を見せていますね。
子どもから原案をもらって大人のクリエーターが形にするというスタイルですけど、常識で固まっていたり、習慣になってしまっている表現のクセみたいなものが、根本から崩されるんですね。僕らはどうしても、“エンターテインメントとして伝えたい”という思いが強くてなってしまう。プロとしてまとめようとするんだけど、それがことごとく破壊されるんです。ただ、型崩れを起こした時に、新しい表現が生まれてくる。
収録は月に2回くらいあるんですが、子どものエネルギーは圧倒的でめちゃくちゃ疲れます(笑)。でも、それが作り手としてはとても面白いし、いい体験をさせてもらっているなと思いますね。
──今後の「オドモTV」の展望は?
先程も言いましたが、テレビは人が集まる“場所”だと思っていて。「オドモTV」を立ち上げる時も、“テレビ番組を作る”というより、“Eテレにトップクリエイターがが集まる場所を作ろう”と思ったんですね。今、「オドモのがたり」や「オドモアニメ」、「オドモマイム」「オドモごはん」とさまざまなコーナーが始まって、どんどん新しいジャンルのトップクリエイターが入ってきています。
子どものアイデアは無尽蔵なので番組はこれからもっと面白くなると思いますし、それぞれのジャンルがクロスオーバーし始めるでしょう。そういう動きが出てきたら、番組も次の段階に入れるのかなと思っています。
全国公開中
監督=大友啓史/出演=佐藤健、高橋一生、黒木華、池田エライザ、沢尻エリカ、北村一輝、藤原竜也ほか
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