本作を書く際には「僕は大人が主人公の話を書くことが多いので、若い女の子が主人公の話は苦手で、ちょっと苦労するだろうなぁと最初は思っていました」と不安を抱いていた様子。
しかし、「さらに15分という尺(時間)のドラマができるだろうかという不安があったんですが、考えてみると昔、NHKで『トキオ 父への伝言』(2004年)という15分のドラマを書いたのを思い出したんです。あらためて見返してみたら、『あ、面白いじゃん』と思いました。
短いなら短いなりの、“どんどん見てといく”“次を楽しむ”という感覚を思い出し大丈夫な気がしてきました。それで、先ほどの話(若い女の子の話は苦手)に戻りますが、結果的には『若い女の子』の話ではなくなったので、そういった意味でもいけるかなと思いました」とのこと。
さらに、物語を作るに当たって「まず『オリジナルにしますか?』『それともモデルを探しますか?』というところから打ち合わせをして、結果、モデルを探すことになりました。プロデューサーさんの方から、いくつかの『モデル候補』が挙がってきて、その中に安藤百福さんの妻・仁子(まさこ)さんがあったんですね。
いろいろな業績を残したのは百福さんなんですが、調べれば調べるほど、成し遂げてこられた内容が素晴らしくて。インスタントの袋麺を作ったこと、カップ麺を作ったことは、本当に画期的だということで決定したのです」と経緯を明かした。
そして、仁子さんの子孫の方に話を聞いたとのことで「優しい人だった、泣いているところや夫婦ゲンカをしているところを見たことがないなど、人としてはすばらしい方だったようですが、物語を作る立場からすると、やはりなにか際立った特徴を求めてしまいます。
いろいろ伺う中で、仁子さんのお母様が『私は武士の娘です』という口癖のピシッとした方だったと聞き、それがヒントになりました。夫婦二人の関係性だけに着目すると、夫唱婦随のありきたりなイメージに留まってしまいますが、そこにりんとしたお母様が関わることで、物語が立体的に浮かんできたのです。
百福さんは素晴らしい人ですが、明治生まれの昔かたぎのお母様からすると、波乱万丈の勝負師のような生き方は受け入れられなかったのではないだろうか…。
もちろん、それはあくまでもフィクションです。実際のところはどうだったのか分かりませんが、そんな二人の間に立つ妻は、母と夫、両方を差配していったのではないか……と想像していったところ『究極のマネジメント能力を持つ女性』というイメージが浮かびました」と福子の人物像の膨らませていったという。
毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか
NHK総合ほかで放送
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