CS映画専門チャンネルのムービープラスが、7月より6ヶ月連続で行っている人気企画「吹替王国スペシャル2018」。その中で、山寺宏一が所属する芸能事務所・アクロスエンタテインメント創立10周年を記念したコラボレーション企画として、日本未公開のロシア発の痛快バディ・ムービー『コップ・ベイビー』の日本語吹替版を、同事務所所属の声優陣を起用して制作。11月にテレビ初放送することが決定した。
ロシアのウラジオストクで、巨大な麻薬シンジケートを追ってきた強面のベテラン刑事・クロモフ。占い師の呪いで、うだつの上がらない若手警官・オレグの生まれたばかりの息子と体が入れ替わる。彼は、赤ん坊という自由の利かない立場の中、父親のオレグとコンビを組んで麻薬王逮捕に挑む。本作でクロモフ刑事の声を演じた山寺に、インタビューを実施。作品の魅力やロシアにまつわる話を聞いた。
今回、所属事務所の皆さんで日本語吹替版を制作する企画と聞いて、どうお感じになりましたか?
「ちょっと観ただけでもすごく面白い作品だと思って、すぐネットで検索したんですけど、何も出てこなかったんですよね(笑)。よくよく聞いたら、日本で劇場公開されていないから情報が出てこないのか、と分かったんですけど。こんなに面白いのに皆さんに知られていないなんて、本当にもったいないと思いました。うちの事務所のメンバーだけで吹替版を作るということは今までになかったので単純に嬉しいですし、ムービープラスさんの『吹替王国』というスペシャルな企画の中でやらせていただけるのは本当にありがたいことです」
ロシアにまつわるエピソードがありましたら教えてください。
「ずいぶん昔ですけど、わが家にロシアの方がホームステイしていたことがあるんですよ。大学にお勤めの女性だったんですけど、何ヶ月かの滞在期間中、とても仲良くしてくださって。それでロシア語を覚えようとしたんです。でも、今覚えているのは『スパシーバ(ありがとう)』と『ハラショー(素晴らしい)』だけですね(笑)。あと、その頃『おはスタ』に出演していたので、『おはよう』という意味の『ドーブラエ・ウートラ』も覚えましたね。そんなふうにロシアとは縁があって、いつも注目している国ではありましたし、そして何といっても今年の夏に開催されたサッカーイベントの余韻冷めやらぬ中での放送なので、この作品も盛り上がるといいなと思います」
作品の印象をお聞かせください。
「"入れ替わりモノ"は昔からエンターテインメントの世界では、映画やドラマで数多く描かれてきていますけど、僕も好きな作品がすごく多いんです。大林宣彦監督の『転校生』をはじめ、僕が主人公・ピーター役の吹替版声優を務めた『キスへのプレリュード』などの名作がある中で、この『コップ・ベイビー』は、ここ最近の映画の中では最高の作品だと言えるくらいお気に入りです。僕はインド映画も好きですけど、今、日本では『バーフバリ』を筆頭にボリウッド映画がまた盛り上がってきている中、新たにロシア映画のブームが来るんじゃないかと思っていて、『コップ・ベイビー』はその先駆けとなる作品になるんじゃないかと。まだまだ世界にはすごいエンターテインメントが、いっぱいあることを教えてくれる一本ですよね。また、うちの事務所にはユニークな声優がいっぱいいるので、役にハマっている声優もたくさんいると思います。一番のハマり役はバーニャ役の金田朋子と、占い師のおばあさん役の犬山イヌコになるんでしょうけど(笑)。若手もみんな、面白い作品になるよう頑張っていたので、たくさんの方に吹替版を楽しんでいただければと思います」
最後に、視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
「ロシア映画ファンになるきっかけの一本になること、間違いなしの本当に楽しい映画です。最高のエンターテインメントを、ぜひ吹替版で体感してください!」
文・撮影=中村実香