女優・床嶋佳子、初のライフスタイル本発売!人生を美しく楽しく生きるためには…
■ふっと肩の力を抜いた途端、違う景色が見えてきた
――本の中で床嶋さんは15年程前に太った時期があったと書かれていましたが、女性は歳を重ねる過程での外見的変化をなかなか受け入れられない人も多いと思います。床嶋さんご自身はそういった変化とどう向き合われてきましたか?
床嶋:体って変わるもの。だから、変わったことに対して、「いけない」とか「昔に戻らなきゃ」って、あまり自分を責めすぎなくてもいいんじゃないかなって。私自身もバレエをやっていた頃に比べたら腰回りはびっくりするくらい丸くなりましたし、いろいろなところが変わりました。でも、年を重ねたのだから変わるのは当たり前だと思うんですよね。
――自分を責めすぎないって、頭では分かっていても実はすごく難しい気がします。外見の変化に限らず、若い頃と比べてこんなはずじゃないとか、前はもっとこうだったのにとか、つい思ってしまいがちで(苦笑)。
床嶋:すごく分かります(笑)。私も40代の頃はいろんな面で若いときと違うってことを実感したりしました。でも、そうやって自分で実感することが大事だと思うんですよね。昔と同じ調子でやり過ぎて失敗したり、疲れ過ぎて限界を感じたり。それを徐々にやっていくうちに、「自分はもう若くない」って開き直れる(笑)。私自身、50歳を過ぎてこんなに楽しくなるとは思ってもなかったですもん。だから、私、やれるうちは思い切り頑張ればいいと思うの。私もそうやって頑張ったから、もういいかなって思えたんですよね。
――それはいつぐらいのことですか?
床嶋:2年くらい前です。その頃ちょっと体調を崩したんですね。そういうときって、若いときのように頑張れないし、それ以上やると自分が持たないってことが見えてくるんですよね。そんな自分を目の当たりにしたとき、あ、いいんだって。これはできないから諦めていいか、これもある程度やったから諦めようって思ったら、すごく気がラクになって。そうすると、心に余裕ができて、物事の見え方が変わってくるんですよ。例えば四角いものがあったとして、前は目の前の面しか見えていなかったのが、ふっと力を抜いた途端、側面が見えてくるというか。面白いなぁって思いましたね。
――そうなる以前の床嶋さんはどんなタイプだったんですか?
床嶋:どちらかと言うと生真面目で不器用なタイプでしたね。で、そんな自分にめげたりして。本当、真面目がコンプレックスでした。でも実はおっちょこちょいな部分もあったりして、昔から知ってる事務所のスタッフは、床嶋さんは床嶋さんでいいんですよって言ってくれてたんですよ。なのに、それに対しても「いや、私はこうじゃなきゃいけない」とか、自分で自分を押し込めてる部分もすごくあったように思います。でも、今はそこからちょっと解き放たれてるかな(笑)。
――ありのままの自分でもいい、と?
床嶋:そうですね。やっぱり人間の輝きって、もちろん見た目も大事かもしれないけど、それよりも内面から滲み出るものだと思うんですよね。本人がリラックスして楽しんでいることは、意外と皆さん受け止めてくださるんだなぁって。これは最近始めたインスタグラムでも実感しました。これまでファンクラブとかも恥ずかしくてできていなかったのが、SNSで思い切って「応援してください」「よろしくお願いします」って言ったら、皆さん応援してくださって。人の温かさを感じましたし、そうやって応援してくださる方々の気持ちを大事にしなきゃいけないなって、改めて実感しています。
――大人になると、あまり人に頼ってはいけないとか、自立すること=何でも1人でできることと思ってしまいますけど、周りに助けを求めることも大切なのかもしれませんね。
床嶋:本当にそうだし、私はそれがすごく大事だと思うの。最近は女性の社会進出が叫ばれていて、そういうとき、誰にも頼らずってなりがちだけど、実はそんなことなくて。もっと肩の力を抜いて、女性の柔らかさを持った上での自立っていうのも可能なはず。私自身、そういう大人の女性を目指したいなって思うんですよね。
とこしま・よしこ=6歳からバレエをはじめ、13歳でヴェルナ国際バレエコンクール・ジュニアの部に出場。1986年に開催された第4回全日本バレエ・コンクールでシニア部門1位に輝く。その後1988年の日・米・露合作ミュージカル「12ヶ月のニーナ」で主役を務め、それをきっかけにバレリーナから女優へ転身。以降、テレビドラマや舞台への出演をはじめ、幅広く活躍中。主な出演作に、舞台「もとの黙阿弥」、朗読劇「この子たちの夏」、ドラマ「新・検事 霞夕子」、「警視庁・捜査一課長」など