真矢にとっての“思い出の味”とは
――今作では、親子丼だけでなく、さまざまな料理が出てきますが、真矢さんにとって“忘れられない味”はありますか?
福岡に住んでいた5、6歳の頃、道に迷ってしまって、あるお家に保護してもらったんです。でも、親が転勤族だったので、「家はどこなの」って聞かれても答えられなくて。住所も言えない、どこから来たのかも言えない。自分の名前しか言えないわけです。
当時はもちろん携帯電話もないし。結局、親に迎えに来てもらうまで一日半くらいかかったのかな。それで泊めてもらったんですけど、そのときに出てきた肉じゃががおいしくてね…。さくらの親子丼と同じで、やっぱり温かいものを食べてホッとしたのを覚えています。
味の思い出と言えば、一番最初にあのときの肉じゃがが浮かんできます。
――この作品を通して伝えたいメッセージをお願いします。
この役を演じるにあたって、何かを社会に訴えたいとか、世の中を変えたいなんておこがましいなと思います。
「みんなで頑張りましょう」なんて、そういうきれいごとも言うつもりはなくて。ただ、親子丼を食べたいなっていう気持ちで見ていただきながら(笑)、こういう現実があるんだっていうことを知っていただければと思います。
そして、皆さんが日常の中で、何かをやろうとしてる人と出会ったら、「それだったら私も動けるわ」って自然と手を挙げてくれるようになったらうれしいです。
――では最後に、2019年の目標をお聞かせください。
やっぱり、いろんな役に出会いたいですね。「さくらの親子丼」の前作で、決して自分の得意分野の役ではなかったのに、「やりがいがあったな」と思って撮影を終えることができたのは、自分の引き出しにない役だった分、本気で取り組むことができたからだと思うんですね。
だからこれからも、自分の引き出しにないような役にどんどん挑戦したいし、挑戦するべきだと思っています。欲を言えば、自分の得意分野の役のオファーが来ても、今までとは違う形で役作りをして、全力で集中して挑みたいなと思いますね。