劇作家・唐十郎が描く、甘美で切ない幻想恋愛劇『唐版 風の又三郎』。主人公の織部を演じるのは、6年ぶりにステージに立つ窪田正孝。
6年という時間は「30歳になり、いろんなことに挑戦したいという気持ちが強くなり、出演タイミング的にも合って、今回出演させていただくことになりました」という窪田。「演劇には映画やドラマにないものがあるので、飛び込んで今までとは違うものを吸収できたら。30歳を節目に、今後は映画とドラマと舞台の3本柱でやっていけるようになればいいなと思います」と意気込む彼に話を聞いた。
――6年前に出演した舞台「唐版 滝の白糸」も唐十郎さんの戯曲でしたが、唐作品の魅力は?
唐さんの台本は想像がつかないところが面白いです。そして分かりやすくないところが唐さんの作品ならでは(笑)。これが本当に難しい。今回は僕演じる織部が柚希礼音さん演じるエリカにひかれていく部分が描かれるのですが、それが単なる恋愛ではなく深層心理でのつながりに近い感覚で…。その独特な関係性などをきちんと表現していきたいです。
そのためにも今はまだ稽古に入る前なので台本をしっかりと読み込んでいます。僕は映像でもいろんなことに巻き込まれてしまう役を演じることが多いのですが、今回の織部も同じ。いつの間にか引きずり込まれ、血まみれになりながらエリカとはいつくばりながら生きていく…。その目の前で起きていることが何なのか分からない不思議な世界を味わってもらいたいです。
そして唐さんの作品は観た人の感覚、それは理性ではなくもっと本質的な部分だったりするのですが、そういうものを変える力があると思います。この作品を観て、何か分からないけれど気持ちが揺り動かされるような体験をしてもらいたいです。
Bunkamura 30周年記念
シアターコクーン・オンレパートリー2019
『唐版 風の又三郎』
作:唐十郎 演出:金守珍
出演:窪田正孝、柚希礼音、北村有起哉、丸山智己、江口のりこ、大鶴美仁音、えびねひさよ、石井愃一、山崎銀之丞、金守珍、六平直政、風間杜夫ほか
【東京公演】
2019年2月8日(金)~3月3日(日)Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】
2019年3月8日(金)~3月13日(水)森ノ宮ピロティホール