「(撮影は)“ライブのような一発勝負”のような感覚でした」(稲森)
――伽耶がアシスタントをしている不倫相手の漫画家・星野誠一郎役の安藤政信さんや、匡の恋人である逢坂朱音役の仲里依紗さんとの4人のやりとりも見どころです。
稲森:16ページを長回しで止めないで撮る“ライブのような一発勝負”のような感覚だったので、良い緊張感がありましたよね。
鈴木:ありましたね~。
稲森:動く位置も決まっているので、タイミングも、言い回しも、感情も頭に入れて…いろいろなものを詰め込んだので、本番前はドキドキしました。
鈴木:役者同士の息はもちろんなんですけど、スタッフとも合わせなきゃいけないから、全体がギュッとなるというか。みんなが集中すればするほど熱が出てくるので、視聴者の方にもその温度感が伝わると思うんです。これを2、3テイク重ねていくと、熱が出ないことを監督は分かってらっしゃるでしょうし、だからこそ役者・スタッフみんなで集中して挑みました。
――監督とのやりとりで印象に残っていることはありますか?
稲森:安藤さん演じる誠一郎の部屋から帰るシーンがあるんですけど、いざ帰ろうとしたら「持ってきたバッグがない!」と思って、その場をグルグル2~3周して捜したが見当たらず、黙って帰っちゃったんです。でも、監督からは「いいの撮れたわね」って言われました(笑)。
鈴木:見てくださると分かるのですが、伽耶が思いを吐露する大事なところで、僕が掃除機を鳴らしちゃったシーンがあるんですけど、心の中で「これでNGだったら大変なことになるぞ」ってビビっちゃっていて…それも含めて監督が面白がってくださるから自由に演技ができました。偶発的に起こったことを生かすお芝居を作る作業が楽しかったですね。