松本幸四郎主演の舞台「カエサル-『ローマ人の物語』-より」が開幕
舞台「カエサル-『ローマ人の物語』-より」が10月3日に初日公演を迎え、公演後、松本幸四郎、小澤征悦、渡辺いっけい、高橋恵子の囲み取材が行われた。
本舞台は、塩野七生の大ベストセラー小説「ローマ人の物語」が原作。古代ローマの興亡を描いた大長編シリーズの中から、塩野が最も愛する英雄であり、世界史に名を残す、ユリウス・カエサル(英語名=ジュリアス・シーザー)の生涯に焦点を当てた物語となっている。
「無事初日を迎えて、素晴らしいお客さんたちで、とても感激しました」(松本)、「けいこの期間があっという間で、きょうが初日なんだなと。見にきてくださったお客様たちも温かい感じで良かったです」(高橋)、「すごく緊張してたんですけど、お客さんの空気に守ってもらっている気がして、緊張がほぐれました」(小澤)、「きょうは緊張してしまったので、明日からはゆとりを持って楽しくやりたいです」(渡辺)とそれぞれ初日公演を終えた感想を語った。
また松本は「千秋楽まで毎日、来てくださる方は毎回違いますから、セリフも1回1回大事にしなくてはいけないですし。セリフっていうのは、我々俳優はけいこから何回も言ってますから、登場人物は一生に1度しかしゃべってない言葉ですので、大事に伝えていかなくてはいけないですね。カエサルの時代は、365日戦争だったわけです。きょう生きてても明日死ぬかもしれないという人間が、寛容でありたいなんてとても僕には考えられないですね。千秋楽までに、寛容の心を持ってる自分を誇れるっていうことを考えないと。本当のリーダーっていうのは、偉大でもなく、大物でもなく、寛容の心を持っている人なのではないかと思います。カエサルは面白い。カエサルは、ヨーロッパを作った人ですからね。すごい人だと改めて思いました」と感慨深い様子。さらに、「素晴らしい共演者に出会えました。けいこから1日として不愉快になることなく、気持ちよくけいこができました。みんな1人1人が一生懸命本気でやってくれています。役者っていうのは恐ろしいもんでね、けいこ場でけいこのためのけいこをやってしまうと幕が開いてもけいこ場での芝居しかできなくなっちゃうんですよ。けいこ場から1日1日を大切にしていかないと、本番で幕を開けてから本気を出すって言っても駄目なんですよ」と順調に初日を迎えたことをうかがわせた。
記者からどのシーンが印象的かを聞かれると、小澤は「いっけいさんが演じるキケロと唾をかけ合うシーンがあるんですけど、本当にかけてくるから楽しいんですよ。今度僕もかけようかな」と記者陣を笑わせ、また「僕は諸先輩方たちの中でやらせていただいてますが、カエサルという舞台を通じて、みなさんの芝居に対する姿勢を少しでも盗めたらいいなと思います。こういう経験をさせていただけるのは本当に宝物ですので、毎回そういう気持ちで臨もうと思っております」と語った。最後に、この日は小澤の父で指揮者の小澤征爾氏が見にきていたことを明かし「『良かったよ。一緒に演じている人も脚本も演出家もみんな素晴らしい。こんな中でできるおまえは幸せだから頑張れよ』と言ってくれました」と告白。
また、この日は松たか子も観劇。「『おつかれさまでした。拝見しました。ありがとうございました』とあの子はさっぱりしているんですよ。彼女なりの演劇観がありますから、また後で母親を通してねちねちと言ってくると思いますけど」と松本は父親として俳優としてのコメントを返した。