放送中の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。
宮藤官九郎が脚本を務める本作は、日本とオリンピックの歴史物語。主人公の一人であり、日本で初めてオリンピックに出場するマラソン選手の金栗四三(中村勘九郎)の兄・実次を中村獅童が演じている。
熊本の山深い集落にある金栗家で、父を早くに亡くし、苦しい家計を大黒柱として支えているのが、7人きょうだいの長男である実次だ。
家族の中で唯一、進学のため上京した四三が、嘉納治五郎(役所広司)が開催したオリンピック参加選手を決める予選会のマラソンで、当時の世界記録を更新。
ストックホルムオリンピックに四三を出場させるため、実次は莫大な渡航費用を捻出する。
そんな、家族思いで熱血漢な実次を演じる獅童に、本作の印象や、弟を演じる勘九郎への思いなどを聞いた。
勘九郎さんが主役をやるにあたって、少しでも僕が力になれれば
――中村勘九郎さんと兄弟の役を演じることについて、思いをお聞かせいただけますか?
勘九郎さんとは、「新春浅草歌舞伎」という若手の公演で10年近く一緒にやってきて、一緒に怒られたこともたくさんあって、ずっと共にしてきた仲です。
それに、亡くなった(十八代目・中村)勘三郎兄さんには僕も本当の息子のように可愛がっていただいたんです。そういった思いもあり、映像の芝居のなかで兄弟役をやらせていただけるっていうことが非常にうれしかったですね。
勘九郎さんが主役をやるにあたって、少しでも僕が力になれればと思っています。そういう気持ちは、勘九郎さんには伝えてませんけどね。
――映像で勘九郎さんとお芝居するときには、何か違う点などは感じるんですか?
僕の場合は、歌舞伎以外のお仕事では歌舞伎のスイッチをオフにして、違うスイッチをオンにするので、撮影をしているときに歌舞伎役者の人と会うと照れくさいときがあるんです。でも、今回は歌舞伎の人とやっている感じがないです。
以前、大河ドラマ「新選組!」(2004年)で勘九郎さんとご一緒させていただいたときは、そんなに絡みがなくても照れくさかったんですけどね。
脚本のせいか、勘九郎さんとも兄弟役なので、いつもの空気感があるからか、自分がちょっと年を取ったせいですかね(笑)。
――今作のために勘九郎さんは長期間トレーニングなどもされてきたようですが、間近でその姿を見てどのように思いましたか?
少年時代からどんどん変化させていく芝居の腕がすごいと思います。歌舞伎の公演が終わってからも走ったり、クランクイン前から体を作っていたことも知っていたので、並々ならぬ意気込みを感じましたね。
主役という責任と役作りと、年代に合わせた演じ方の変化という細かい演じ分けですね。全身全霊で心を込めて演じる、命がけで演じるということが勘三郎兄さんの教えなんですね。