<試写室>「トレース―」“ラスト数分”の衝撃に震えが止まらない
独断と偏見のレビュー
前回のラストで、ついにノンナも真野の過去について知ることになり、これからどういう関係性になるんだろうなあと思っていたら、やはりと言うべきか、手伝おうとして真野に冷たくあしらわれる黄金(?)パターン。
ノンナを追い払うときの真野の「出てけ!」がかなり“低温”仕様で、はたから見ているだけでもゾクっとする冷たさ、そして怖さ。これまでで最も冷たい目つきの真野に見えた。その2人の間にいる虎丸の複雑な表情も印象的。
以前も触れたかもしれないが、なんだかんだ虎丸って優しいのだ。真野のために協力しようとするところは最近の2人の仲なら予想通りだが、ちゃんとノンナのことも気にかけている。
うん、もはやこの2人にとって親戚のおじさん(失礼)的な存在なんじゃないかと思えてきた。
ドラマの縦軸である真野の過去の事件と、現在進行形の事件が関連している今回。柾木と上杉という注目の若手俳優2人がライバル役で出演しているが、中でも柾木は「目が泳ぐ演技」をやらせたら右に出る者はいないな、とあらためて思った。
何メートル泳ぐんだってくらい泳いでいたけど、そこは若手屈指のカメレオン俳優。キリっとする場面ではさすがの表情を見せる。
そして海外ドラマだったら普通にイケメン枠で扱われるであろう袴田の演技が相変わらず濃いし、本当にこういう役どころが似合う。
あとは、意外なところに意外なキャストを発見! この使い方はニクいな。
その“意味”に気付かない人も多いかもしれないし、制作スタッフさんもどこまで意識してキャスティングしたのかは分からないが、またもや「科捜研の女」からの“刺客”(?)が登場する。
と言っても、彼女は「科捜研の女」のレギュラーをもう卒業しているから厳密にいえば刺客とは違うのだが、まさかこんな形で、他局の“科捜研”ドラマに出ることになるとは、他ならぬ自分も思わなかっただろう。
こうなってくると、まさか最終回にはあの人がSPゲストで出ちゃうんじゃないの? という淡い期待も…ないかぁ。
そんな中、いよいよラスボス感漂う千原ジュニア演じる壇浩輝が真野に接近してきそうな雰囲気がプンプン。彼はこれまで9話全部合わせても15分も出演してないんじゃないか?ってくらい出番は少ないのに、存在感がやたらある。
お笑い芸人としてもキレ者で知られる千原だが、演技の上でもキレ者に見えるので、恐らく表に出て来るであろう最終回が楽しみでならない。
そして、第10話はラスト数分でもう一つ衝撃が。あまりにも…な展開に思わずやりきれない思いが込み上げてきた。詳しくはもちろん書かないが、ここにきてそんな事実を知ることになるとは。
冒頭にあと2話で卒業という話をしたが、ここまで毎回何度も何度も繰り返しオンエアを見ていると、愛着が湧いてとてもじゃないが卒業できそうにない。
こうなったら留年したということにして、もう少し続けませんかね?
いや、それはおかしいか。
それに“eighter”ならぬ、“Tracer”(※トレースファン)の方は、例え最終回という名の卒業を迎えたとしても、瞳を閉じればこのドラマの名場面が浮かんでくるはずだ。
文=人見知りシャイボーイ