過去を描くことで6つ子の人間味が増した
――今作の劇場版で作品やキャラクターに新たな発見はありましたか?
櫻井:ありましたね。彼らの短いながらも人生の流れを垣間見ることができたので、「こういう出来事が起こっていたんだ」「彼らにもこういう人生があったんだ」と知ることができました。正直、これまでそんなこと全く考えていなかったんですよ。だって平気で死んじゃうじゃないですか(笑)。
――死んだとしても、次のお話では何事もなかったかのようにスタートしていました。
櫻井:そういう世界観で生きているキャラクターだから、時間の流れや過去なんて全然気にならなかったんです。せいぜい「いつから十四松だったんだろう?」とアルバムを見るくらい。あのエピソードが逆に意外なくらいでしたね。
だけど、劇場版では彼らが今生きている時間を起点として、物語が作られていたので、彼らの人間としての立体感が出たというか。六者六様のキャラクターだったものに人間としての奥行きが増したというか。そういうものが今回の劇場版でより見えてきたように感じました。
――長尺で描く劇場版だからこそ描けた部分だと思います。
櫻井:ちゃんと時間の流れを描くことで成長も変化も見られますからね。そうすると、そこに人間味が生まれる。きっと見た方もそう思ってくださると思います。
見え隠れする18歳の6つ子たちの葛藤
――作中でおそ松たちは18歳の6つ子と出会います。当時の彼らにはどのような印象を持たれましたか?
櫻井:リアクション的には痛々しいですよね(苦笑)。「うわぁ~、やめてやめて!」という感じ。自分に対しては厳しい評価になっちゃうので、どうしてもそう見えるんじゃないかな。僕も10代の頃なんて灰色の青春でしたから。高校3年間の記憶を合わせても1カ月分ないですもん。言われるがまま、ルーティンの日々でしたね。
おそ松たちも過去の自分をダサい、痛々しいと見ているんですが、その大人になった彼らの姿も超ダサい(笑)。そこが滑稽で面白いですよね。第三者視点から「お前たちも変わってないよ」とツッコみつつ、それでも時の流れで変化や成長も見えるなと感じました。
――おそ松については何か変化を感じ取れましたか?
櫻井:それがないんですよ!(笑) 他の兄弟たちは見た目からして変わっているのに、おそ松だけは18歳の頃と変わっていなくて、本編ではそこがネタとして描かれているんですけど…。6つ子は、自分たちが周囲と違う事に気付きはじめて、キャラクターが変容していくんです。
きっと、葛藤や迷い、悩み、苦しみとかがあったと思うんですけど、そんな中で、おそ松はこの頃に一丁上がっているんですよね。まったく変わっていない、そんなところに長男らしさを感じたりもしました。
――変わらないのも彼の魅力ですか?
櫻井:魅力なんですかねぇ?(苦笑) その辺は僕には分からないので、皆さんにお任せしちゃおうと思います(笑)。
3月15日(金)全国ロードショー
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