新世代のカメレオン俳優 成田凌、七変化<ザテレビジョン シネマ部>
近年、層が厚いといわれている20代の男優陣の中でも、目覚ましい活躍を見せている成田凌。第42回日本アカデミー賞では新人俳優賞を受賞し、今、勢いに乗っている。
成田が芸能界入りしたのは、2013年。ファッション誌『MEN'S NON-NO』の専属モデルとしてオーディションに合格したことから、現在の事務所に入り、'14年にドラマ『FLASHBACK』で俳優デビューした。
以降、さまざまなドラマに出演するたびに印象を残してきたが、際立つのはその変幻自在ぶりだ。'16年、高視聴率を記録したドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』ではキュートなサラリーマン役で女性ファンの心をわしづかみにしながら、最終回にゲイだとカミングアウト。視聴者の驚きはハンパなかった。一方、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- THE THIRD SEASON』では真面目で心優しいけれど、自分のスキルに自信が持てない、ヘタレなフライトドクター候補生を等身大で演じ、共感を集めた。
振り幅が大きく、作品ごとに違う顔を見せるところからカメレオン俳優の異名を持つ成田。映画作品でもその演技力をいかんなく発揮し、さまざまなキャラクターにチャレンジしている。そんな成田の映画における"七変化"に注目してみよう。
まずは、実在する異色のボーカル・グループのヒット曲の誕生秘話を描いた『キセキ -あの日のソビト-』('17)。役どころはグリーンボーイズのメンバーのクニ役。音楽を楽しみ、仲間を大切にする熱い男をイキイキと演じ、印象を残した。
成田自らが「自分の代表作」と語る『ニワトリ★スター』('18)で演じたのは、裏社会の片隅でドラッグの密売をしながら生きる自堕落な男だ。全身タトゥーに赤髪というパンクな風貌で、共演の井浦新を相手に、精神的な危うさを抱えるキャラクターを体現。入口と出口では全く印象を異にする作品だが、今を生きる若者の閉塞感をリアルに演じてみせた成田の演技力も高く評価された。
『ニワトリ★スター』同様にファンを驚かせたのが、『スマホを落としただけなのに』('18)。彼氏がスマホをタクシーに置き忘れたことからトラブルに巻き込まれていくヒロインの恐怖を描くサイバー・ミステリーで成田が演じたのは、主人公たちが頼るネットセキュリティーのプロで、彼にとって今までにない役どころに挑戦している。かと思えば、『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』('18)では、ドラマ版よりも成長したフェローの奮闘を好演した。