インパルス板倉が語る「今の時代のヒーロー像」と「腐り芸人の胸のうち」
ある事件を機にプロボクサーの道を断たれた男と、ヒーローに憧れる気弱な青年の二人が出会い、社会にはびこる悪を“暴力”によって成敗していく――。
小説「トリガー」「蟻地獄」のコミカライズ版でも知られる“原作=板倉俊之&作画=武村勇治”のタッグにより、「月刊ヒーローズ」(小学館クリエイティブ)で連載中のコミック「マグナレイブン」が今、世の漫画好きたちから注目を集めている。2019年3月に発売された単行本第1巻も好調だ。
ザテレビジョンでは、原作者の板倉俊之に単独インタビュー。禁断のノワールアクションコミック「マグナレイブン」の創作秘話を聞いた。
さらに、お笑い芸人“インパルス・板倉俊之”にも肉薄。相方・堤下敦の活動自粛中に期せずして獲得した“やさぐれ芸人”“腐り芸人”という新たなキャラについて、そして、堤下が復帰を果たしておよそ半年、インパルスとしての今後をどう見据えているのか、その胸の内も語ってもらった。
世の中、“暴力”で解決できる問題って実は多いのかなって
――「マグナレイブン」の単行本第1巻が好評を博しています。極めてシリアスなテーマで、かなり踏み込んだ内容になっていますが、こうした重厚なストーリーは、どのようなところから着想を得たのでしょうか。
「いろんなところからなんですけど、例えば僕がボクシングをかじってることとか、YouTubeで暴力的な動画を見るのが好きだってこととか(笑)、あと、悲しいニュースを見たときに『これ、どうにかできなかったのかなぁ』と思ったりとか。いろんな出来事とか個人的な考えが重なって、何となく物語が湧いてきた、という感じですかね。ボクシングのことに関して言うと、いつもジムでプロのボクサーの方がトレーニングしているのを見ると、こんなにしんどくて、こんなに報われない仕事があるのかって思うんですよね。日々脳にダメージを受けながら、それでようやく世界チャンピオンになっても、全く世間に知られない人だっている。試合中に『バテてんじゃねぇぞ』とか心ない野次を飛ばす観客がいると、『ふざけんなよ!』って腹が立ってくるんですよ」
――報われないまま夢を諦めざるを得なくなってしまった元プロボクサーが、ボクシングの技術を暴力に変換して、世の中の理不尽な問題を解決していく…まさに、今の板倉さんの話が全てつながりますね。
「要は、現代社会で、限界ギリギリまでリアルにヒーローをやったら果たしてどうなるのかっていう話なんです。いじめの問題にしても、もしかすると、傷つけられる側がその瞬間だけでも強くなっちゃえば、案外すぐ解決しちゃうんじゃないの?…って考えると、『暴力反対』って一概には言えない気がするんですよね。子どもへの虐待の問題だって、身もふたもない言い方になっちゃいますけど、子どもには腕力がないから何も打つ手がないんだっていう見方もできるわけで、世の中、暴力で解決できる問題って実は結構多いのかなって。そういう僕のモヤモヤした妄想というか仮説を、漫画という虚構の世界で試してみたっていう感じですね」