山田裕貴「自分の人生を生きるより楽しいかもしれない(笑)」
――雪次郎を演じて、共感するところはありますか?
この仕事(演じること)が好きだというところですかね。僕は、自分が無個性でつまらない人間だと思っていたので、(演じることで)違う人になることができる俳優は天職だと思っています。
なので、「俳優になりたい」という雪次郎のせりふには、思いが乗りました。雪次郎のせりふであって、僕の気持ちでもあって、気持ちが重なる部分がありました。
それに、雪次郎が大切にしている俳優像や、雪次郎が目指す“お芝居をする人の感覚”が、僕が思っていることや目指していることとほぼ同じなんです。
例えば、雪次郎のせりふの中に「別にスターとかじゃなくて、普通の人間だから伝わる精神を持っているのが、本当にすごい俳優なんだと思いました」というものがあるのですが、それもまさに僕が目指している俳優像で。
雪次郎とのシンクロ率が高くて、台本を読むたびに「(僕が)思っていたことばかり! 」という感覚になります。
脚本の大森(寿美男)さんには、僕の考える俳優像などを直接お伝えしたわけではないので、こういうインタビュー記事などを読んでくださって(脚本を)書いてくださったのかなと思うのですが、台本をもらうたびに「大森さん、僕のインタビューめちゃくちゃ読んでくれてる! 」と思いました(笑)。
なので大森さんには、打ち上げでお会いできたときに最大限の感謝を伝えようと思っています。
あとは、父親が元プロ野球選手だったので、僕も「野球がやりたい」と言って野球をやっていたことがあったんです。
「川村屋」に修行に行かせてもらって「修行をやめたい」と言った雪次郎が、「野球やめたい」と言った僕と、とても似ているなと思いました。なので、そこも大森さんすごい!と感じましたね(笑)。
雪次郎と僕は、いろいろな巡り合わせのタイミングが一緒だなと感じることが多かったです。まるでパラレルワールドだなって思いました。本当にシンクロしていて、演じていて楽しいです。自分の人生を生きるより楽しいかもしれない(笑)。