全てを統べる者
大福、もなか、チョコ、ババロア、ようかん…。和菓子、和菓子、洋菓子、洋菓子、和菓子と続き、今度は何菓子だろうと思っていたところ、なんとまあドストレートに来た。
大福は食べごたがあったし、もなかはしっとりと上品、チョコは少しビターで…というのは、本作に登場する女性刑事の名前だ。
犯人逮捕のゲン担ぎで大福をよく食べていたことから、大福のあだ名で呼ばれていた平井真琴(斉藤由貴)、もなかは…まんま谷中萌奈佳(安達祐実)、そしてチョコこと高井智代子(宮崎美子)。その次は大胆にも馬場呂亜(ババロア、田中美佐子)ときて、FBI捜査官の神林瑤子(ヨーコ・カンバヤシでヨウカン、鈴木紗理奈)。彼女たちは皆、大岩の右腕としてその手腕を振るい、事件解決に奔走してきた。
そして今回の「新作スペシャルI」では、直球ど真ん中、これまでの集大成とも言えるような…和菓子こと運野和菓子(うんのわかこ)が登場する。ちなみに「新作スペシャルII」には、山本舞香演じる小倉安子(おぐらやすこ)が。
和菓子を演じるのは、刑事役に初挑戦だという壇蜜。多彩な経歴を持つことでも知られる壇蜜だが、デビュー前には和菓子工房に就職していたこともあるというから驚きだ。本人も「縁があるなと思いました」と、公式コメントにて喜びを語っている。
だが、壇蜜の出演が発表された直後には、彼女の名前から今回の役名を「あんみつ」と予想していたファンもちらほら。まあ、あんみつも和菓子であることには変わりないだろう。
和菓子に添えられた塩味も抜群
屋形船といういわば密室で起きた今回の殺人事件。あらすじにもあるように、隅田川を走る屋形船に爆弾が仕掛けられ、しかし、乗船していたはずの男が船上から姿を消し、別の場所で遺体が発見されるというトリッキーな展開に、謎は深まっていく。
そこで、和菓子刑事の出番となる。とにかくツイているという彼女は、「自らの努力で運を手繰り寄せる」力を持つ敏腕刑事だ。顔見知りである大岩も、「今日はツイてるか?」とあいさつ代わりに和菓子に声を掛け、彼女も当然のように「はい、とってもツイてます!」とはにかむ。そんな壇蜜の気品ある刑事姿が、全編にわたって堪能できる。
普段のおっとりとした印象とは異なり、それでいて彼女の持つ知的な雰囲気が見事に役に投影されていて、とにかくデキる刑事なのだ。髪をまとめ、グレーやブラウンのスーツを身にまとった和菓子は、次々と大岩らを驚かせるような推理を披露していく。そんな彼女を、ただツイているだけとこぼす人物もいるのだが…。
彼女がなぜツイていると言われるのか、和菓子の過去にもぜひ注目してほしい。
一方、壇蜜以外のゲストキャストも負けていない。被害者の秘書として登場する池本奈月役の谷村美月は、何度か出ていたよね?と言わんばかりの溶け込みようで、ああいかにも怪しい…と思わざるを得ない。そんな谷村は、塩加減ばっちりな対応と演技力で、壇蜜と対峙していく。
さらに、予告編にもわずかな時間だがバッチリとその存在感を示したのは、よゐこ・濱口優だ。テレビ朝日の大人気シリーズ「無人島0円生活」で“まさるさん”の愛称で親しまれる濱口が、そのまま、いや“ほぼそのまま”のビジュアルで登場している。
そんな小ネタがこれまで以上にふんだんと散りばめられた今回のスペシャル、家で和菓子でも食べながらじっくりと味わってみては。
ちなみに、和菓子刑事は14日(日)の放送にも出演するとのことなので、一度で二度おいしい「新作スペシャルII」も見逃せない。