辻仁成、映画の主人公に重ねて息子への思いを語る
自立した息子について語る
また、同じ世代の息子を持つ親として「子供が親の反対を押し切っても人のために行動を起こすことに、何が彼をそうさせたのかが映画から伝わってくる。ただ、映画として描いている部分はあると思うので、実際にはもっと大変で過酷な状況の中、彼が困難を克服したんだろうなと見ていて感じました」と少年の苦難に思いを馳せるコメントも。
「息子さんに本作を見てほしいと感じましたか?」という質問では、「彼(息子)は皮肉屋だから、僕が見ろと言って見るタイプではない。さっき2分ほど電話で話したけど、2分間つかまえるのもやっとで。パリから日本にも一人で来るし、九州や親戚の所までも、親の手を借りないで一人で行動するタイプでたくましい。自宅にスタジオを作って音楽家活動をしたり、友達と映画づくりの話もしていて、僕も今福岡で新作を撮っているけど、そこにも参加してエキストラの整理とかも頼まれて勝手にやっている」と、すでに自立した息子について話すと、会場からは驚きの声もあがった。
続けて「この映画のすごいところは、父親の反対を押し切ってやり遂げたこと。それがうちにはないんですよね。うちは子どもに反対せず、何でもやらせてきた。バレーボールで優勝したり、成績も優秀で9月には志望校の高校に入れたり、フランス語も彼の方ができるから、今では親としても文句を言えないというところもあるけど(笑)。でも、本作のウィリアムは、厳しい環境というだけでなく、親にも反対されていた。それを乗り越えて成し遂げたことはすごいと思った」と話した。
さらに、最近息子さんに恋人ができた記念に一緒に曲作りを持ち掛けられたという話題になると、「息子は自分の部屋の半分にスタジオを持っていて、スピーカーやレコーディング機材、マイクや映像編集のソフトまである。彼のスタジオで作ったその曲を僕が歌った。すごくいい曲で、自分たち大人には作れないことをやるんだと感じた。今の14歳、15歳の子たちしか作れない世界観。でも、映画でのウィリアムは、機材など何もないところから作り上げたことが、さらにすごいところ。息子にも見せたい!」と息子さんとの関係を語りながらも、映画ではまったく逆の環境で風車をつくりあげたことに感心した様子だった。
8月2日(金)より全国公開
監督・脚本・出演=キウェテル・イジョフォー
出演=マックスウェル・シンバ、アイサ・マイガ
原作=「風をつかまえた少年」ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著(文藝春秋刊)
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