いとうせいこうが語る自著、精神科との付き合い、みうらじゅん、国境なき医師団のこと
博士:あの人とかも、、明石家さんまさんの・・・。
原:エムカクさんですか?
博士:エムカクさんは、「明石家さんまヒストリー」をずっとメルマ旬報で連載しているんですけど、今やさんまさんの特番のスタッフですからね。明石家さんまに関しては日本で一番詳しいです。さんまさん公認になったんですよ。さんまさんが、大阪から京都へ移動する間、一緒に乗らせてもらって、ここはこういうふうに調べたんですが・・・と話を聞く。
原:裏取りしていくんです。
いとう:ハハハハハッ。さんまさんもすごいね。
博士:乗らせてるっていうのがすごい。
原:5年ぐらいエムカクさんと一緒に仕事してるんですけど、何をやって食べてるのか分からないんですよ。
いとう:立派だなあ。立派な人だなあ。
博士:それも、さんまさんが「自分のことを書き記すほどやわではない」と、本を書かないと宣言したのを聞いて、「だったら自分が全てを書きます」と。さんまさんの全ての番組の書き起こしをやってるんです。
原:さんまさんの高校時代のサッカーの試合の得点まで調べてる(笑)。
いとう:うっわー。
博士:さっきの柳田光司という人もそういうのをやってて、得点が間違ってるって指摘していた。役所に行って、マイクロフィルムまで見て、点数を調べたという。
原:それで二人は本気でケンカを始めるんですよ。
いとう:それが文化ってもんだからね。何に役立つか全く分からないことの積み重ねが文化だから。すごいなあ、素晴らしいなあ。
原:そんな番組でありたいなと。それが200回続いたのは奇跡だなと。
いとう:よく続いたね。 200回は今なかなかないんじゃないですか。こんな訳の分からないことを続けてられないよ?(笑)
原:BS12 トゥエルビさんの寛大なお心があって。
博士:芸能史をあさっている人は多いよね。史家というかね。「メルマ旬報」には特にそういう歴史家が多いなと思いますね。
原:博士さんが好きですからね。そういう方々は頼まれるでもなく、やってますよね。
いとう:それが素敵なんだよね。頼むわけもないしね(笑)。でも結局、博士がそういう地中にいる“ミミズ”の人たちを引きずり出してるよね。地中にいるんだもんね。
原:その人たちは地中でも満足だったんでしょうけど。
いとう:そういう人が、人を元気づけることがあるもん。「クジラのひげにだけ興味があるけど、誰にも話せない」って子どもがいるとしたら、「ヒゲだけでいいんだ!」って言ってあげられるってことでしょ。すごく大事だよね。
博士:地中から出ると、その人たちも相互に影響を受けるから。根深くやってる人がいるんだ、負けられないってなってますからね。
いとう:面白いじゃない。それこそメディアだよね。俺からしたら、あんた方自体がミミズだけどね(笑)。この番組、知らなかったから。
博士:せいこうさんの番組をやっているプロデューサーの、角田陽一郎という人がいるんだけど、その人は最終的に自費でせいこうさんの番組をやってましたからね。テレビ番組を自費でやるという(笑)。
いとう:やってたねえ。アメリカじゃないんだから。
原:その人も「メルマ旬報」の一員ですよね。
いとう:出版界はすごくウェルカムで、そういう人を欲しいんだけど、ミミズに気づいてない。気づいた途端にプッシュするでしょうね。作家の話を聞ける番組なんてあまりないし、ファンも多いから。知らないことに出会わせるのもテレビの役割ですからね。
毎週金曜夜2:30 BS12 トゥエルビにて放送
10月4日(金)は、水道橋博士、原カントくん、いとうせいこう、宮崎一晴(クジラ夜の街)が出演。