『ボヘミアン・ラプソディ』 “クイーンを超えたクイーン伝説”を語る―マーティ・フリードマン×増田勇一×レイザーラモンRGスペシャルトーク
第91回アカデミー賞でラミ・マレックの主演男優賞を含む最多4部門を受賞。平成と令和をまたいで日本興収130億円超(配給調べ)のメガ・ヒットを記録した『ボヘミアン・ラプソディ』。伝説のバンド、クイーンの足跡を、天才的ボーカリストだったフレディ・マーキュリーの知られざるプライベートにも迫りながら展望した音楽エンターテインメント作品で、1985年7月13日、英国ウェンブリー・スタジアムにおける“ライヴ・エイド”での約20分のステージを再現したクライマックスはまさに圧巻だ。
WOWOWでは、本作の放送を記念してクイーンを大特集。それに合わせて、クイーンと『ボヘミアン・ラプソディ』を愛する3人によるスペシャル・トークを企画した。集まったのは、元MEGADETH(メガデス)のギタリストでマルチ・アーティストとして活動中のマーティ・フリードマン、自身のネタでクイーンの楽曲を使用するほどのクイーン好き芸人レイザーラモンRG、そしてかつて音楽専門誌『MUSIC LIFE』『BURRN!』の編集にも携わり本作の字幕監修を務めた増田勇一。『ボヘミアン・ラプソディ』の魅力についてはもちろん、クイーンが音楽界に与えた影響など、それぞれプロの視点から“クイーンを超えたクイーン伝説”を語ってもらった。
レイザーラモンRG(以下RG)「あの~、クイーンの話に入る前に…。僕は今、45歳なんですけど、元々はヘヴィメタルやハードロックが大好きなメタル・キッズでして。だから、メガデスもずっと聴いてたし、『BURRN!』もずっと読んでいて」
マーティ・フリードマン(以下フリードマン) 「ハハッ!」
RG「だから、このお2人とクイーンの話をできるなんて、ホントにもう、夢のようなんですよ(笑)」
フリードマン「ありがとうございます」
増田勇一(以下増田)「お2人とも、『ボヘミアン・ラプソディ』はご覧になったんですよね?」
フリードマン「もちろん」
RG「僕は、たぶん日本でいちばん最初にこの映画のプロモーションをした男なんですよ。まだ本編の映像も届いてない段階で、『クイーンの新しい映画が公開されますよ!』って告知したんです、なぜか僕とみちょぱ(池田美優)で(笑)」
増田「へぇ~、そうだったんだ」
RG「まさかここまでいい映画だと思ってなかったし、ここまで大ヒットするとは、まったく思ってなかったですけど(笑)」
フリードマン「ホント、どの角度から見ても感動の映画。クイーンがどんだけ素晴らしいバンドか再発見したし、この映画、ダサくないし、すごくちゃんとしてる。クイーンの伝説を汚さなかったですね」
増田「ムフフフ、確かに」
フリードマン「あと、僕、ギタリストだから、(本作の音楽総指揮を務めたクイーンのギタリスト)ブライアン・メイのギターのサウンドを、シアターのバツグンの音響で聴けたのは、世界一、気持ちよかった。特にどアタマの、あのギターの音ね」
増田「20世紀フォックスのファンファーレをブライアンが弾いてるやつね」
フリードマン「そう! あれよりいいギターの音色、ほかにないです。ちょっと、嫉妬感じながら感動してましたね」
増田「あれ、真似したくなるでしょ?」
フリードマン「いや、真似したくないよ。あれよりいい音で弾けないから。やられた~って感じ(笑)」
RG「ブライアンのギターの音って、やっぱり特別なんですか?」
フリードマン「素晴らしいね。彼の演奏、コンセプト、タッチ、すべて。だから、何を弾いても彼が弾いてるって認識できるし」
増田「『あ、ブライアンのギターの音だ』って分かるよね」
フリードマン「だから結構、僕は影響受けてます」
RG「確かにこの映画、音もカッコいいし、ストーリーもいいし、もうボロボロ泣きながら本編を観たんですけど、実は僕がいちばん盛り上がったのは、エンド・クレジットの最後に『字幕監修・増田勇一』って出た瞬間ですよ!(笑)」
フリードマン「えっ? そんなの出たの?」
増田「はい、僕が字幕の監修をやったんですよ」
フリードマン「カッコいい~」
増田「こういう音楽映画の字幕って、よく的外れな日本語訳が出ることがあるじゃないですか」
フリードマン「そうそう、よくある~」
RG「マーティさん、日本語の文字も読めちゃいますからね(笑)」
増田「ただ、今回の字幕をつくられた風間綾平さんはロック・ファンで、クイーンも大好きな方でしたから、間違いなんか別になかったんですけど、僕が最後の微調整をさせてもらって」
フリードマン「ってことは、字幕は最初から最後まで納得できた?」
増田「うん。ただ、文字数の制限っていうのが結構厳しくて。昔の映画の字幕は読み切れないぐらい長かったんだけど、今の字幕はシーンごとに何秒間で何文字までって制限があって。だから、例えば曲のタイトルとか入っちゃうと、それだけで使い切っちゃうんですよ」
RG「『ボヘミアン・ラプソディ』ってタイトルだけで、だいぶ長いですもんね(笑)」
増田「そう。だから、かなり意訳になってるところも多いんだけど、とにかくテンポを崩さないように、臨機応変にやってましたね」
RG「今回の映画で僕が驚いたのは、ブライアン・メイ役のグウィリム・リーさん。ものすごく似てましたよね」
増田「似てましたねぇ」