<ラグビーW杯>元日本代表主将・廣瀬俊朗さんが語った 日本代表躍進の要因と準決勝、決勝の注目ポイント
自国初開催のワールドカップで、史上初めての決勝トーナメント進出、ベスト8という輝かしい結果を残したラグビー日本代表。NHKで20日に放送された「日本×南アフリカ」の視聴率は関東圏で41.6%を記録した。21日に行われたイベント「日経プレミアムゼミナール 2020 in横浜」にて、元日本代表のキャプテンをつとめ、ラグビーワールドカップでNHKの試合解説を担当、著書「ラグビー知的観戦のすすめ」が重版を重ねている廣瀬俊朗さんが登壇。今大会の日本代表の大躍進の理由はいったい何だったのか? まだまだ楽しみな準決勝、決勝戦で注目するべきポイントを語った。
――「日本×南アフリカ」の試合はいかがでしたか。
南アフリカはとてもタフで、日本の分析もしっかりしていて、日本は自分たちのやりたいラグビーをさせてもらえなかったという印象です。また、田村優選手や流大選手など、特定のプレーヤーへのマークも激しかった。前回大会では初戦で当たったために南アフリカはパフォーマンスがピークではなかった一方、今回は決勝に近くピークに近い状態だったということもあると思います。
――ワールドカップの日本開催にはどういった意義があったでしょうか。
ゲームの勝ち負け以外に、スポーツのすばらしさが伝わったことが良かったと思っています。相手を敬うとか、相手の文化を尊重するとかそういったことです。
海外チームの選手たちが日本の文化を尊重し、試合後に並んでお辞儀をしていること。また、台風被災地で海外選手がボランティアする様子もニュースになりました。スポーツがゲームの勝敗の枠をこえて社会にできることがあるということを見せられたと思います。
また、日本のファンの方たちが外国のアンセムを歌う姿も話題になっています。僕は今回、肩を組んで出場国のアンセムを歌おうという「スクラムユニゾン」という活動をしてきました。
元々は、選手時代に自分自身がキャプテンになって、海外出身選手たちと一緒に日本の国歌を歌う練習をはじめたんです。するとチームが一つになって、とてもいい空気が生まれました。それにファンの人を巻き込みたいなと思ってスタートしたプロジェクトでした。
また、もう一つ背景になったのがスコットランドのラグビー場での風景です。競技場で一体となって「フラワー・オブ・スコットランド」を歌うファンの姿やそのスタジアムの雰囲気が印象的でした。今大会では、ファンも一体となってアンセムを歌い選手を後押しする楽しさを味わっていただけたのがよかったと思います。
――今、注目しているチームは?
ニュージーランドは本当に上手ですね。当たり前のようにスペースにパスをつなぎ、必要な場所にもどる。また、イングランドもチームの充実を感じます。テレビ放送を見ていると、良いプレーがあったときにメンバー外の選手が喜んでいる。そういうところから良い雰囲気のチームなんだということが伝わってきますね。
廣瀬俊朗さんが今後、解説をつとめる試合の放送予定は下記の通り。
2019年10月26日(土) 準決勝「イングランド」対「ニュージーランド」(昼4:40-夜6:44 NHK総合ほか)
2019年11月1日(金) 3位決定戦(昼5:45~夜8:00 NHK BS1)
2019年11月2日(土) 決勝(昼5:00~夜8:30 NHK BS1、NHK BS4K)
また、廣瀬俊朗さんの書籍「ラグビー知的観戦のすすめ」は、ラグビーの歴史や文化、ノーサイドの精神などについてもしっかり解説している。出場20チームのアンセムの歌詞も収録。ゲームの見方についてはルールは大体わかったけれど試合を見ていて「今どちらが有利なのか」「どの選手がいいプレーをしたのか」などを理解して、もっと通な観戦がしたいという方にオススメの一冊だ。