芝居はダンスの延長線上
――演じた禎司は二人の美しい外国人女性と深い仲になるカメラマンですが、どのような気持ちで臨みましたか?
彼はミステリアスで、外に対して心がオープンではない描かれ方をしているんですね。でも、彼の中には大切な価値があって、真実を追いかけて、見つけようとしている。そして、それを不器用なのか外に見せない。…という部分が、脚本を読んだ時から共感を覚えたんです。
禎司を通して今後、人生で必要なものが見つかるかもしれない、何かを乗り越えられるかもしれない、と。だから、個人的な思いで禎司に取り組んだかもしれません。自分が、向き合いたくもない過去と向き合うことが必要な瞬間もあり、それはとてもタフな経験でしたけど、この作品すべてが、役者として、人間としても挑戦できたし、成長できたと思えます。
――禎司は、思い出を写真に焼いて整理して、保管する性格です。小林さんは、気持ちや情景を形にして残しておくタイプですか?
それを僕は、ダンスや芝居に変換しているんでしょうね。そもそもダンスを始めたのは、伝えたいことや叫びたいことがあって、誰かに言いたい手段として、相性が合ったからなんですよ。
――言葉ではなく?
あいまいな感覚って、言葉にすることによって失われることもあるから、それがフラストレーションでもあるんですけど、それを超えたところで、相性が合う人もいるわけじゃないですか。少ない言葉だけど、完ぺきに分かりあえた時には、ものすごい結びつきになる。そういうものを人は追い求めるのかなぁと思っていて。自分にとってそれを外に表現する方法がダンスだった。
10年前から芝居もしていて、芝居でしか表現できないこともあると知って、自分の過去の経験を追体験して、昇華できたことがあったんですね。その時、「芝居って、自分がもともとやっていたダンスの延長線上にあるんだな」と思って。
さっきの質問に戻るんですけど、自分が感じたことを禎司は写真で、フィジカルで残すやり方だったけど、僕はそれがダンスに変換されて、これまで映像に残してきたと思います。
11月15日(金)
Netflixで配信開始
出演=アリシア・ヴィキャンデル、ライリー・キーオ、小林直己、ジャック・ヒューストン、祐真キキ、佐久間良子、ケン・ヤマムラ、室山和廣、Akiko Iwase、Crystal Kay
監督=ウォッシュ・ウェストモアランド
製作総指揮=リドリー・スコット
公式サイト=https://www.netflix.com/jp/title/80244457