中尾「僕も明石家流に乗ります!」
――中尾さんがぴったりだったわけですね。
さんま:これは好き嫌いがあると思うんですけど、中尾の芝居は“やっている感”が出ないから好きなんです。僕の趣味で言うと、(チャールズ・)チャップリンと(バスター・)キートンだったらキートン。ピーター・セラーズあたりの芝居も好みです。
――“やっている感”を出さないように意識しているんですか?
中尾:そんなこと考えていないですよ(笑)。
さんま:いや、意外とやっているんですよ(笑)。
中尾:僕は一生懸命やっているだけなんです(笑)。
さんま:「PRESS~プレス~」を見た関根勤さんが、「冒頭の中尾くんいいよね」って言っていたことを覚えています。いろんなお芝居を見ている関根さんがキャッチされていたわけですから。あの時が初めての共演だったので印象に残っています。
中尾:「PRESS~プレス~」の冒頭のシーンは、長ゼリフということもあって結構いろいろ考えましたし、緊張していたんです。でも、楽屋では開演30秒前ぐらいまでみんなで盛り上がっているんですよ。
だから、その盛り上がりをそのまま持って舞台に出て行く感じ。もしかしたら、あのシーンに関しては何も考えていなかったかもしれません(笑)。
さんま:だから良かったのかもな。
中尾:芝居をしてやろうというより、「あ、もう行かなきゃ」っていうノリで行ったのが良かったのかもしれないですね。
――さんまさんと共演して刺激を受けたところは?
中尾:以前舞台をご一緒した時に「脚本をどうやって崩していくかを考えている」という、さんまさんのインタビュー記事を読んだことがあったんです。僕はどうやって成立させるかということしか考えていないので、それはすごく勉強になりました。今まで壊す作業をしたことがなかったので。
さんま:役者さんはそうでしょうね。僕の場合は明石家さんまとしてキャスティングされていますから。さんま流にやるというのが正解なんです。だから、壊したいですし、笑わせたいんです。
――中尾さんも“中尾流”で…!?
中尾:中尾流?明石家流があるのに?何を言っているんですか(笑)。いくら何でもそこに被せたりはしないですよ。もちろん、僕も明石家流に乗ります!
さんま:舞台を一緒にやっている時は明石家一門なんですよ(笑)。でも、役者さんはいろいろ考えてきてくれるんです。ぬっくんなんて人一倍考えるタイプなんですよ。
稽古場でどんどん変わるセリフや動きなんかを台本にびっしりメモって、もともとの自分のセリフが読めなくなっている(笑)。
中尾:あれはすごいですよね。
さんま:次の日に自分なりに考えた芝居をしてくれるんだけど、「あ、ぬっくん、ゴメン。昨日やったやつなしでいいから」って言ったら、いきなり毛根から汗がブワーッと出てくるんですよ(笑)。
でも、そこまで考えて芝居をしてくれているってことですからありがたいですよね。
■東京公演
2020年1月10日(金)~1月31日(金)
Bunkamuraシアターコクーンにて上演
■大阪公演
2020年2月20日(木)~2月26日(水)
COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演
脚本:福原充則
演出:水田伸生
出演:明石家さんま、中尾明慶、山西 惇、温水洋一、八十田勇一、犬飼貴丈、吉村卓也、加瀬澤拓未 粂川鴻太 佐藤来夏、佐藤仁美