北村匠海「まるで昔の自分を見ているような感覚になりました」
12/13(金)公開の映画「ぼくらの7日間戦争」で主人公の鈴原守の声を演じた北村匠海。発売中の週刊ザテレビジョン12/6号の連載「take me,take you」で2度目となる声優への挑戦について語った。
12/13(金)公開の映画「ぼくらの7日間戦争」で、僕は主人公の鈴原守を演じさせていただきました。声優に挑戦したのは映画「HELLO WORLD」(2019年)に続いて2回目。でも、アフレコの仕方は全然違いました。「HELLO WORLD」のときは画がない状態でせりふだけ先に収録したのに対し、「ぼくらの7日間戦争」では映像に合わせて声を入れたんです。しかも、収録のスタイルも「HELLO WORLD」ではほぼ僕1人で収録したのですが、今回は綾役の芳根(京子)さんをはじめ、キャスト全員で行うという。ブースには全部で4本のマイクがあって、僕と芳根さんはそれぞれ専用のマイクがあったのですが、他のプロの声優の方々は残りの2本を共有されていて。アニメのアフレコの世界ではそれが普通らしいんですけど、マイクの前を入れ替わり立ち替わり動きながらアフレコをされている様子は、さすが!って感じですごかったです。間近で見ていると、例えばせりふやキャラクターのいる場所などに合わせて、マイクとの距離を細かく調整されていたりして。プロのみなさん曰く、マイクとの距離感も完成した映像に乗るらしいんです。そういった普段の実写映画にはないアフレコならではのテクニックは、とても勉強になりました。
この映画で僕が演じている守は大人しい少年で、学校ではいつも1人で本を読んでいるタイプ。でも、自分の好きなものについて話すときは饒舌になるところや、好きな女の子に思いを伝えられなかったり、自分に非がある出来事が起こるとどん底まで落ち込んだりする性格は、僕が学生だったころにすごく似ているなって(笑)。アフレコをしていても、まるで昔の自分を見ているような感覚になりました。でも、そのおかげで、どうして守がこんな表情をしたり、こういう気持ちになるのかを理解して演じることができたので、良かったなと思います。とはいえ、アフレコはやっぱり難しいですね。普段の芝居でも役柄によって声のトーンを変えるようにしているんですけど、実写だと表情や動きも付けられるのが、アフレコは声だけで表現しなくてはいけないので…。それも経験を積んでいけば、もっと自在に演じられるようになるのかもしれません。立て続けに2本の作品に参加させていただいたことで、声優という仕事の面白さに気付いたので、これからも機会があったらどんどんやっていきたいです。いつか、大好きな細田守監督の作品に参加できたらいいな。
もちろん、今回の「ぼくらの7日間戦争」も出演が決まったときはうれしかったです。原作の小説は小学生のときに読んだことがあったので、まさか自分がその世界の中に入るなんて…って。今回の映画は、原作の流れを酌みつつ、現代版として生まれ変わっていますけど、僕が原作を読んだ時に感じた、“大人たちに対して思っていること”や、思春期ならではの言葉にできない繊細で複雑な感情を代弁してくれる感じっていうのは健在です。なので、この作品を通して彼らと同じ7日間を過ごし、最後には爽快な気持ちで帰っていただけたらいいなと思ってます。
取材・文=片貝久美子
声の出演=北村匠海、芳根京子、宮沢りえ(特別出演)
きたむら・たくみ=1997年11月3日生まれ、東京都出身。公開待機作に「サヨナラまでの30分」(2020年1月24日公開)、「さくら」「思い、思われ、ふり、ふられ」(全て2020年公開)がある。
北村匠海写真集「U&I」
撮影/諸井純二
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