松下洸平、“朝ドラ”初出演で撮影初日は「記憶があまりないです(笑)」<スカーレット>
松下洸平、八郎は「誰よりも人に対する愛情の深さがある人」
――八郎の役柄についての印象や、役のここに注目してほしいという点はありますか?
「八郎」というだけあって、八人兄弟の末っ子です。戦争などで身内との別れをたくさん経験しながら育ち、いろいろな人の人生を見てきたからこそ、どう生きるべきなのか人一倍よく考えるとてもたくまし い青年だと思っています。
喜美子の八郎に対する第一印象は「ちょっと理解しにくい」という設定ですが、謎が多くて何を考えてい るか分からない人物というイメージにはならないようにしたいと思って演じています。就職した丸熊陶業で、祖父が大切にしていた思い出の絵を描いた深野先生(イッセー尾形)と出会ったことで、ガチガチに緊張してしまって、最初の挨拶では自分が思っていることをちゃんと話せなかったのです。
子どものころも決して目立つ存在ではなかったと思うし、根っから明るい性格ではなかったかもしれませんが、物すごく真っすぐで真面目で、何事に対しても一生懸命、誠意を持って取り組める青年です。
演じていて分かるのですが、誰よりも人に対する愛情の深さがある人だと思います。八郎は、いろいろなことに共感してくれる喜美子にすごくひかれます。
彼女は絵付けをやっていて、僕は陶芸家を目指し陶工として働いていて職種は違うのですが、八郎が「陶芸を通してこういうことを伝えたい」「陶芸家になってこういうことがしたい」と話すと、「そうなんや」「八郎さんはそう思ってるんやね」とすごく共感してくれます。
――収録に参加されてみて、現場の印象はいかがですか?
戸田恵梨香さんについては「こんなに頭のいい女優さんはいない、本当にかなわないな」と思います。お芝居をちゃんと理論立てて物事を整理する力があるのですが、最終的には感情を軸として動くことのできる人です。
多くの映像のお仕事を続けてきたからこその瞬発力だと思います。僕はずっと舞台をやってきて、1カ月間を通して戯曲を読みとっていくという「脳」なんですが、戸田さんはこの瞬間どうするのかという前後のことも考えながら動ける方だと思うんです。
さらに僕はどちらかといえば気持ちで進むタイプなんですが、戸田さんは冷静に理論立てて物事を進められる方です。そんな自分にないものを常に戸田さんに補ってもらいながら演じています。でもたまに戸田さんがうまくいかないとき、僕が動きを変えてみたりするとまたそれに対して感情を伴った動きを返してくれたりもして。そうやっていいコミュニケーションをとりつつ演じられるのは、やりやすくてありがたいです。