開けたくない傷を開けて、その時の自分に向き合ってみたくなる
――“どうか貴方もどこかで泣いていますように”っていう歌詞に、その愛の深さを感じた。
「うんうん。同じ気持ちを共有していてほしいというか。単純に会えなくなってしまった人のことを想うんじゃなくて、大事だった人のことを考えながら自分の気持ちを立て直していく時って、すごく時間がかかるし、辛い。そのことを思い返して書いてみたんです。悲しみって時間が経てば癒えるし、傷口は閉じるけど、もともとそこは、すごい勢いで切れてたなぁって」
――そうだね。パックリ切れる感じでね。
「そう。癒えた傷口をもう一回開けて、この時、私は一体どう思っていたんだろう? どうして欲しかったんだろう?って、見てみたくなる。開けたくない傷を開けて、その時の自分に向き合ってみたくなるんです。それで、“あの時、どうでしたか?”って聞いてみたいんです」
――聞き方が明るいから(笑)。
「アハハハ。今、ちょっと聞き方が明るすぎましたね(笑)。でも、開いてみません? せっかく閉じたのに、開けたくなっちゃう感じ」
――ん〜。なくはないかな(笑)。
「せっかく閉じたのにね(笑)」
――せっかく傷口がくっついたんだから、おとなしくしときなさい! 開けない!って感じなのにね。
「そうなんですよね。わざわざね。何回も開けちゃう(笑)」
――そんな何回も開けなさんなよ!
「はーい(笑)」
――でも、そこで、再び傷口を開けることによって、その時に言ってほしい言葉は見つかったりしたの?
「みつかりました。私自身、すごく依存してしまうから、この歌詞のように、相手にも同じ気持ちでいて欲しかったんだなって。依存しちゃうタイプなのに、素直に“側に居てよ”と言えないから。“私だけのことを思っててよ”って言えなく、“頑張ってね! 行ってらっしゃい!”と言っちゃうから。でも、本心はそうじゃなくて。自分と同じ気持ちで居て欲しかったんだなって。ただ、それだけだった。2番にも書いたんですけど、その人が居てくれてすごく幸せなはずなのに、なんで寂しかったんだろう?って。欲張りだったのかな?って考え直してた時、気づいたんです。あ、私のほうが好きだったんだなって。その気持ちに気づいた時、またより悲しくなっちゃって」
――あーそれ切ないね。
「そう。切ないんです」
――でも、この歌詞の中で成長を感じるのは、最後に“貴方が幸せでありますように”って歌えているところ。
「ちゃんと相手の幸せを願えているからね」