【新日本プロレス1.5東京ドーム】棚橋、日本のエースの意地を見せるも”ジェリコの壁”崩せず
プロレス界初となった東京ドーム2連戦(1月4日&5日)は、2日間で70,071人を動員して、大成功のうち幕を閉じた。“国民的マスクマン”獣神サンダー・ライガーの引退記念試合があり、新日本マット史上初の2冠戦で内藤哲也が新王者になるなど、新時代の到来を感じさせた。
スペシャルシングルマッチ
●棚橋弘至(22分24秒、ウォールズ・オブ・ジェリコ)○クリス・ジェリコ
神出鬼没の米国マット界のトップスター、ジェリコが再び来襲した。対する棚橋は、新日本のみならず、日本のプロレス界を支えてきたエース。ペインメーカー(ジェリコ)vsエース(棚橋)の対立構図は、日米頂上決戦といえる。
ジェリコは、11・3大阪決戦で一方的にVTR越しで棚橋を「ドームがおまえの引退試合だ」と挑発。急務的だが、因縁関係が始まった。ジェリコはTwitterのフォロワー数が350万人を超える世界規模のスター。棚橋の10倍以上とあって、米国WCWとWWEに上がった偉人を称えずにはいられない。
初対決の2人の試合は、クラシックな立ち上がりでスタート。序盤では、ジェリコが場外の長机の上でDDTを放ち、棚橋を脳天から叩き落とした。大ダメージを負った棚橋だったが、コーナートップから場外へのハイフライフローで大逆転。ニッポンのエースの執念と華麗さを見せつけた。
ところが、執念ではジェリコのほうが上。1度目のウォールズ・オブ・ジェリコ(鯱式逆エビ固め)はプッシュアップで切り返されたが、腰にダメージを残すことには成功。2度目でタップさせ、棚橋を葬った。
毎年恒例の“イッテンヨン”(1・4)に出場せず、“イッテンゴ”(1・5)に集中していた棚橋は「ジェリコに勝ってスタートダッシュ決めるイメージしかなかったから、何も思い浮かばない」と、バックヤードでは無念の表情。しかし「こっからどうやって今の新日本のトップ戦線に戻っていくか。戻るというか、食い込んでいくのかわかりませんけど、俺ならまだできるっていうヘンな自信はあります。まだ棚橋に少し期待していてください」と自信をみなぎらせた。
なお、3年連続3度目のドームとなったジェリコは、「今の時点で新日本の最後の試合という約束になっている」と、今大会でいったん新日本から去るようだ。
文=伊藤雅奈子