【新日本プロレス1.5東京ドーム】獣神サンダー・ライガー引退試合 31年のプロレス人生に万感「何の悔いもない」
プロレス界初となった東京ドーム2連戦(1月4日&5日)は、2日間で70,071人を動員して、大成功のうち幕を閉じた。“国民的マスクマン”獣神サンダー・ライガーの引退記念試合、新日本マット史上初の2冠戦で内藤哲也が新王者になるなど、新時代の到来を感じさせた。
獣神サンダー・ライガー引退試合Ⅱ
●獣神サンダー・ライガー&佐野直喜with藤原喜明(12分16秒、TIME BOM→体固め)○高橋ヒロム&リュウ・リー
ジュニア戦線に革命を起こし、タレントとしても有名になったライガーが、ファイナルゴングを鳴らした。「世界最強」といわれた新日本のジュニア路線は、31年間闘ったライガーの歴史そのものといえる。
タッグパートナーは、同期の佐野。セコンドは、“心の師匠”藤原に頼んだ。対戦するのは、ライガーが過去に11回も腰に巻いたIWGPジュニアヘビーのベルトを現在保持する高橋。そのライバルのリュウ。平成から令和に伝承されるジュニア新旧対決の様相を呈した。
試合では、ライガーボム、バックブリーカー、掌底といった得意技で衰え知らずの面を見せたライガーだったが、フィニッシュは現役王者のプライドを見せた高橋が、殊勲の3カウントを奪取。試合後、マイクを手にしたライガーは、「平成元年、この東京ドームでプロレスラー、獣神サンダー・ライガーは生まれました。そして今日、この東京ドームで、プロレスラー、獣神サンダー・ライガーは終わりました。31年間、応援していただきましてありがとうございました」と力強く発し、大「ライガー」コールのなか、リングを下りた。
「何の悔いもない。引退会見はしんみりして、好きじゃないよね。やっぱり『ライガーらしかったね。今日の試合、本当に引退するのかな?』って、そういう声が聞こえたら、100点満点だと思います。今日は真正面から、昨日もそうですけど、ぶつかっていって、粉々に砕かれた。これでもう悔いはないでしょう」(ライガー)
バックヤードには「獣神サンダー・ライガー」原作者の永井豪氏が駆けつけ「ライガーさんとお会いしたのは31年前。新日本プロレスでマスクマンが誕生するんだけど、誰がかぶってくれるか、期待して待っていたら、ライガー選手、山田選手ですけど…」と、思わず本名をポロリ。ライガーはすかさず「あっ、言っちゃった(笑)。もういいだろう」とフォローした。
最後には「善い神様の末裔で、邪神を倒すためにバイオアーマーを着る」というライガーのルーツに対して「山田くんは邪心の塊だった」と笑わせることも忘れなかった。
なお、ライガーの引退セレモニーは6日、東京・大田区総合体育館で執り行われる(チケットはすでに完売)。今後の予定については、マスクマンのまま、リングネームのままでプロレス解説者、後進の指導にあたるという。
文=伊藤雅奈子