松たか子&広瀬すずが語る、岩井俊二作品の魅力とは?広瀬「みんなが岩井さん色に染められていく感じがしました<ラストレター>
松「すずちゃんは現場でも常に落ち着いていて、動じないところがすごい」
――お二人は昨年の秋から冬にかけて上演された舞台「NODA・MAP第23回公演『Q』:A Night At The Kabuki」でも共演されていましたが、順番としては映画での共演が先ですよね?
松:映画の撮影は一昨年の夏でした。すずちゃんは現場でも常に落ち着いていて、動じないところがすごいなと。結構タイトなスケジュールで撮影していたのと、すずちゃんは微妙な2役(母親を亡くした少女・鮎美と、母親・未咲の高校生時代の2役)を演じていたので、大変だろうなと思っていたんですけど、映画を見ると、さわやかに2役が成立していたので、ステキだなと思いました。
――広瀬さんは松さんにどのような印象を抱かれていましたか?
広瀬:何て言うんだろう。松さんの「松さん!」という感じというか…。
松:ないなら、ないって言っていいんだよ(笑)。
広瀬:違うんですよ(笑)。現場でカメラの前に立ってらっしゃる松さんは、裕里という女性として存在してらっしゃって、ものすごく普通の人に見えるんです。そのナチュラルさが本当にすごいなと思っていました。でも、こういったインタビューの場などでご一緒させていただくと、「松さん!」としてのオーラと存在感がすごくて、カッコいいなと思います。
――松さんが演じられている裕里と広瀬さんが高校生時代を演じられた未咲は、年齢の近い姉妹という設定です。お2人とも実生活では姉妹がいて、自分が妹の立場だと思いますが、この映画に登場する姉妹と重なる部分はありますか?
松:うちの姉は優しくて、妹の私が姉の代わりに何でも言っちゃうみたいなところがありましたね。あと、末っ子気質というのか、姉や兄が怒られているのを見て「ああしない方がいいんだな」と思うちゃっかりしたところもあって(笑)。そこは映画の姉妹と似ているかもしれません。
広瀬:確かに妹にはそういうちゃっかりしたところがありますね(笑)。でも、うちは姉がとても明るくオープンな性格で、私はそうではないので、タイプ的には全然違っていて。なので、姉の姿を後ろから見ていて、「ガツガツ行くと、そうなるんだな」というのは思っていました(笑)。関係性的には友達みたいな瞬間もあれば、他人みたいな距離感のときもあって。
私は映画で描かれる裕里と未咲の関係は、とても素直で美しく見えました
――裕里の初恋相手である鏡史郎を演じられた福山雅治さんとの共演はいかがでしたか?
松:福山さん演じる鏡史郎とはじっくり話すシーンがあって。あのときはずっとお芝居を続けられそうな空気でした。何年かに一度そういうことを感じるときがあって、今回は福山さんが導いてくれた」と思いました。会話の内容に意味のあるシーンでしたが、福山さんと話をすること自体が演じていて面白かったです。
広瀬:私は福山さんと森七菜ちゃんと三人のシーンがあったんですが、福山さんの集中力がすご過ぎて、撮影が終わった後に「抜け殻状態」になりました。でも、福山さんは「(さわやかに)お疲れさまでした~」と帰っていかれたので、すごいなと思いました。福山さんとは(映画)「三度目の殺人」(2017年)でもご一緒させていただいたのですが、そのときとは全然違う福山さんを見た気がしました。
――松さん、夫役の庵野英明さん(「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズの監督)と共演された感想を教えてください。
松:庵野さんには昔PVを撮っていただいたことがあるんですが、俳優としての庵野さんと接するのは初めてでした。劇中で庵野さんが「スマホ禁止!」と言うシーンがあるんですが、そのときの庵野さんの声がものすごく大きくて。こんなに大きな声が出るんだと思ったら面白くなってしまって、庵野さんは私のツボでした(笑)。
――広瀬さんは鮎美の従妹・颯香と裕里の高校時代を演じられた森七菜さんの印象を。
広瀬:七菜ちゃんとは好きな作品や脚本家さんの好みが一緒で、そこになるとオタク気質が発揮されるみたいで(笑)、早口になって一生懸命に話している姿がとてもかわいかったです。あと、お芝居がナチュラルで、とても素敵な女優さんなので、現場ではいつも七菜ちゃんのことを目で追っていました。
2020年1月17日(金)全国東宝系にて公開
<スタッフ>
監督・原作・脚本・編集:岩井俊二
音楽:小林武史 企画・プロデュース:川村元気
配給:東宝
<キャスト>
松たか子、広瀬すず、庵野秀明、森七菜、小室等、水越けいこ、
木内みどり、鈴木慶一、豊川悦司、中山美穂、神木隆之介、福山雅治
【HP】last-letter-movie.jp