戸田恵梨香「愛情が本物だからこそ、しんどい」“朝ドラ”のこれまでを振り返る!<前編>
戸田恵梨香「いつも“2人とも間違っていない”というのが、しんどい」
――第14週(1月6日~1月11日)では、父・常治(北村一輝)の死から3年が経ち、喜美子は31歳に。陶芸家として名の知れるようになった夫・八郎(松下)を支える姿が印象的でした。そんな中で、幼なじみの信作(林遣都)に「いまの喜美子は喜美子じゃない」と言われたことで、その後の八郎との関係や喜美子の心境に変化はあったのでしょうか。
喜美子自身「ほんとうにやりたいことをやれていない」という気持ちはあったと思います。でもその中に、ハチさんのことをただひたすら支えたい、フォローしたいという思いがから回ってしまうのが14週でした。
ハチさんもそんな喜美子の思いを受け止めているんだけれど、それもハチさんにとっては苦しい…。2人の思いがどんどんと絡まっていく様が、演じていてけっこう苦しかったです。喜美子と八郎は、いつも“2人とも間違っていない”というのが、しんどいんです。
サニーの開店に際してコーヒー茶わんをつくりましたが(第12週)、そのときに代金をもらうかもらわないかで考えが食い違ったときも、2人とも正しいんですよね。どちらかが間違っていたら楽だと思うんですけれど……。
信作が「もうちょっと、おまえがやりたいことをやってもいいんちゃうか」と背中を押してくれるのは、信作だからこそできることですし、信作だからこそ、喜美子の心にぐさっと刺さるんですよね。
だけど喜美子は「まずハチさんが」って考えてしまう。喜美子と八郎の愛情が本物だからこそ、しんどいことってあるんだなと、この作品を通して知りました。
――喜美子と八郎の互いへの思いが絡まり合う14週が演じていて苦しかったということでしたが、15週(1月13日~1月18日放送)はいかがでしたか?
15週は喜美子が絵付け小皿の大量注文を受け、久しぶりにものづくりに対して燃える気持ちを思い出して没頭していくので「ああ、喜美子のこの姿が見たかった」と個人的に思った週でした。
ハチさんのことも支えたい、でも同時に絵付け小皿もがんばりたいっていう2つの欲が同時に生まれて、どうバランスを取ればいいのか喜美子は分からなかったけど、ハチさんが背中を押してくれました。
だから、ハチさんのことは三津(黒島)に任せる、と喜美子が決断できたのだと思います。ただそれをきっかけに三津の八郎に対する気持ちがふくれあがっていくので、よかったのかどうかはちょっと分からないですけれど、喜美子と八郎がそれぞれ陶芸家として大きく一歩進んだところなので、そこはよかったと思いました。