千葉雄大、“スマホ2”を経て「大人になった気がします…もう30歳ですけど(笑)」
千葉雄大が主演したSNSミステリー『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』が2月21日(金)に公開される。前作では、恋人・富田(田中圭)がスマホを落としたことをきっかけに、事件に巻き込まれるヒロイン・麻美(北川景子)が体験する恐怖を描いたが、続編となる同作では、事件を解決に導いた刑事・加賀谷(千葉)を主人公に、終わらない悪夢をつづる。映画・チャンネルNECOでは同作の公開を記念し、2月21日(金)に第1弾の『スマホを落としただけなのに』を放送する。
今回、千葉にインタビューを行い、シリーズに寄せる思いや30代の展望などについて語ってもらった。
――ご自分が主演での続編が製作されると聞いた際の率直なご感想は?
「戸惑いましたよね。楽しみだなと思う部分もありましたけど。プレッシャーというか、プロデューサーの方から『座長』『座長』と呼ばれて、やめてくれよって…座長だったんですけど(笑)。撮影前は自分1人で、いろいろ考えたりしていたんですけど、現場に入ってからは1人じゃないなって思ったし、1人で背負えることなんかたかが知れているなって思って。前作に引き続いて出演される、北川さんや田中さん、原田(泰造)さんたちがいらして、それに加えて新しいキャストの方がたくさん出演されて。安心もしましたし、仲間が増えて行く感覚というか、すごく勉強になる部分もありました」
――中田秀夫監督の演出はいかがでしたか?
「前作の時は中田秀夫監督から、お芝居の面についても割とおっしゃっていただくことが多くて。だけど、今回は撮影に入る前に作品や役について前もっていろいろ話をして臨んだというのもあると思うんですけど、現場で何か(中田監督が)おっしゃるということがあまりなかったので、任されている部分があるのかなっていうのは感じました」
――加賀谷という役について、大事にした部分はありますか?
「撮影していて、どんどんどんどんフラストレーションがたまって、イライラするな、みたいなところがあって(笑)。加賀谷は、成田凌くん演じる浦野に歩みよりたくないんですけど、上から言われて向き合わなければいけなかったり、プライベートでも白石麻衣さん演じる美乃里という素敵な彼女がいるのに、そこもなかなか折り合いがつかなかったり。全部が上手く行かなくなって、周りの渦に流されていくというところがあって、でもそれでいいと思っていました。その時思ったことはこうしようと思いつつ、立ち返って『加賀谷ってこういう人だよな』みたいに、ちょうどいい塩梅に持っていく作業はできたかなというのはありました」
――今回の撮影中、気持ちの切り替えは上手にできていましたか?
「そんなに上手くはなかったような気がします。でも、控え室とかでは遊んでいたりとかして。ヘアメイクさんやスタイリストさんたちと毎日ドレスコードみたいなものを作って、みんなで写真を撮っていたんですよ。そういうところで息抜きはしていました」
――ご自身と加賀谷の共通点は?
「僕は加賀谷ほどナヨナヨしていないし、ハッキリしています(笑)。映画を観た女性陣から、『じれったい』とか『ハッキリしろよ』みたいに言われました。でも、そこが加賀谷の人間っぽさというか、男として共感する部分も無くはなかったですね」
――千葉さん自身は白石さん演じる美乃里のような女性はどう思われますか?
「素敵だと思いますよ。はっきりしていますし、思いきりもあって。彼女のような女性のためだったら、加賀谷よりもっと頑張りますよ、当然!あんな危険な目に遭わせないように頑張りますね(笑)」
――今だから言える前作『スマホを落としただけなのに』の魅力や注目ポイントを教えてください。
「前作は北川景子さん演じる麻美と、田中圭さん演じる富田の2人の関係性が、事件を通じて好転していって。今回は2人の幸せなところからはじまるのですが、それは監督がすごく意識されていたことです。前作の最後で富田と加賀谷が病院で会話するシーンがあるんですけど、そこでの加賀谷のセリフというのは、なんとなく『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』にも響いてくるものがあると思うので、意識して観て欲しいですね」
――前作から加賀谷は、過去のトラウマを思い出す時に右耳を触るクセがありましたね。
「あの加賀谷のクセは、意識してやっていたわけではないんですよ。スタッフの方に『千葉さん、そういうシーンでずっとこうしてましたよ』って言われて気づきました。だから、後付けで『このシーンはこうしましょ』っていう風になったんです。今回は全部演技です(笑)」
――ちなみに千葉さんはスマホを落とした経験はありますか?
「あります。タクシーの中に忘れたので、領収書にある電話番号に連絡をして営業所に取りに行きました。でも、この作品に関わるようになってからは落としていないです(笑)」
――加賀谷という役について、どういう気持ちを抱いていますか?
「観ようによっては、本作で加賀谷という人物は成長していくと思うんですよね。でも、そのためにはこれぐらいの事件が必要だったというのが『本当に何してんだよ』って感じではあるんですけど(笑)。でも、人が何かを乗り越えて一歩進むというのは結構好きなので、演じていても、客観的に観ても、加賀谷は応援したくなる人物ではあるかなって思います」
――前作の時からまた演じてみたいと思っていたキャラクターでしたか?
「前作の時はそこまで考えていなかったですし、続編があるとも思っていなかったです。でも、観た人からは『何考えていたのかわからなかった』とか『逆に怖かった』とか言われていましたね。そういうミスリード的な役割はあったと思うけど、自分ではそう思って演じていなかったので、今回もわからないですよねって感じです。誰が怪しいとかじゃなくて、全員が怪しく見えるので」
――千葉さんにとって、この作品はどんな存在ですか?
「僕はあんまり、立ち位置とか意識して仕事してこなかったんですけど、今回、この作品に出演するにあたって、見えない景色というか知らなかった世界みたいなことをいろいろ知ることができたので、ちょっと大人になった気がします。もう30歳なんですけど(笑)。だから、より多くの方に観ていただきたいですし、観てくださった方には楽しんでもらえたらそれが一番だと思います」
――30歳というワードが出ましたが、千葉さんにとって30代最初の1年はいかがでしたか?
「割と幅広くお仕事もできた気がしますし、考えることも具体的になってきたので、これからやらなきゃいけないこととか、やりたいことが明確になってきた年だったと思います。これからの30代では、お仕事ももちろん大事ですけど、仕事をするために生きているのではなく、生きるために仕事をしているので、自分自身というものを充実させたいな、というのもあります。作品ごとに毛色は違いますけど、何かしら伝えたいものを持って仕事をしたいなと思うようになりましたね」
文=中村実香 撮影=中川容邦
ヘアメイク=堤紗也香 スタイリスト=寒河江健