主演女優賞は高畑充希「『不安だ~』って毎日泣き言を言っていました」【ドラマアカデミー賞】
最終話は「ハッピーエンドがいい、というのはずっとお願いしていました」
――同期役の橋本愛さん、新田真剣佑さん、竜星涼さん、岡山天音さんとの共演はどうでしたか?
第1話では、みんな距離感がわからない感じでしたが、その後、1話ずつ、ひとりひとりとサクラが向き合う回になっていたので、第5話が終わった時点では全員がなじんでいました。演じる役と共に距離が縮んでいった感じですね。
第3話では美しい愛ちゃん(百合役)に「ブス」と言えるのが楽しみでした(笑)。なかなか言えないセリフだし、「ぶす」という音の響きって刺さるじゃないですか。あの場面で、サクラは百合を傷つけるつもりではなく、「なんでも相談しろよ」と優しい気持ちで言っていたのだと思います。
ムードメーカーは竜星涼くんでしたが、最終話、みんなで桜の木の前に集まるシーンで、竜星くんがドヤ顔で言うセリフを何度も間違えてしまって、爆笑していた記憶があります。でも、そのおかげで緊張がほぐれました。みんなでハードな撮影を乗り越えたので、本当に仕事の仲間という感じです。
――そのラストシーンでは桜木の下に同期が集まり、またそれぞれの道を行く。そんな結末をどう思いましたか?
「ハッピーエンドがいい」というのはずっとお願いしていたので、桜の木を見ながら終わるのは美しくていいなと思いました。第1話からそこまで10年の物語をさかのぼっていったので、これでひと区切り。クランクアップの日は完走してゴールテープを切り、バタっと倒れた感じでした。「今日は寝る前にセリフを覚えなくていいんだ。やったー」って“超”解放感がありました(笑)。
――この作品を通して、高畑さんが得たものはなんでしょうか?
私たちの仕事は個人事業主のような感覚なので、組織で働く人とは考え方が違うんだなということをよく感じました。上司に言われたことは絶対であることとか、出世する方法を考えることとか、10年間の物語を通して普通の会社員の人の年の重ね方を体感できて、とても新鮮な気持ちでした。サクラは「橋の強度が足りない」と会社を告発しましたが、現実には我慢しなきゃいけないことがたくさんあるんだろうな、貫けない正義があるんだろうなとも思いました。
そして、何よりスタッフさんが私たちのモチベーションを上げてくれ、お芝居しやすい環境を作ってくださったのがすごくありがたかった。これからもこんな頼もしいスタッフさんたちとお仕事していきたいと思います。
取材・文=小田慶子