恋愛ドラマは王道路線が流行中!“恋つづ”&“僕せか”ヒットのカギは『奇跡』と『ベタ』
“僕せか”は亡くなった幼なじみとの再会物語
一方、佐野勇斗と飯豊まりえのW主演ドラマ「僕だけが17歳の世界で」(毎週木曜夜11:00、AbemaSPECIAL)は、AbemaTVの動画配信オリジナル作品ながら、初回放送後にTwitterのトレンド入りを果たした作品。
1話の放送はわずか3日で、見逃し視聴を含めた総視聴数が100万を突破して、AbemaTV内のドラマ作品の中でも「奪い愛、夏」と並ぶ史上最速となっている。若い世代を中心に「こんなに泣けるとは」「好きな人に会いたくなった」「全友達、全女子に見てほしい」などと話題だ。
高校2年生の航太(佐野)と芽衣(飯豊)は幼なじみ。お互いに意識し始め“好き”という想いがありながらも、伝えるチャンスは巡ってこなかった。突然、航太がこの世を去ったからだ。7年が経った2020年、故郷に戻った芽衣が航太との思い出が詰まった桜の木の下を訪れると、死んだはずの航太が17歳のまま現れた。
季節外れの桜が咲く期間だけ、好きだった幼なじみが戻ってくるというファンタジー・ラブロマンスである。
不思議な『奇跡』に若い世代が涙
3話(3月5日放送)で、再会した芽衣が東京で社内不倫をしていた事実を知り、ショックを受けた航太。芽衣は、いつまでもピュアな子どもでいるわけじゃないと、航太に気持ちをぶつけたが、自問自答した結果、彼氏とは別れ、しばらく東京には戻らないことを決めた。
仲間のはるか(大友花恋)は、「俺が航太を殺した」と話す伊織(結木滉星)の言葉の真意を気にしていた。この先は、航太の死の真相や、この世に航太が戻ってきた意味などが描かれていく。
この“僕せか”は、一度死んだ人が満開の桜と共に帰ってくるという不思議な出来事を『奇跡』として描く。このような物語は数多くあり、映画「黄泉がえり」や「いま、会いにゆきます」、ドラえもんの名エピソード「おばあちゃんの思い出」などでも描かれる、ある種『ベタ』な創作世界なのだが、今の現役中高生や20代の若者にとっては、航太と芽衣の再会は新鮮な感動体験となっているのであろう。
ことしは新型コロナウイルスの影響も大きく、卒業式の実施が難しかったり、突然友だちとの別れが来てしまった人もいるだろう。「死」という大きな別れでなくても、大切な人へ想いを告げることなく別れを迎えてしまう可能性だってあるという現実。後悔をしない人生を歩むためにも多くの若者に見て欲しい作品だ。桜の花びらが舞い散るロマンティックなシーンも素敵である。
ヒットの要素は時代で変わる
放送中の恋愛ドラマ2作品について『奇跡』と『ベタ』がポイントと述べたが、ヒットするための要素は、はっきり言ってひとつには絞れない。素晴らしいキャストやよく練られた脚本、そして時代に合ったテーマなど、すべてがタイミングよくマッチしたドラマだけがその時期の人気を勝ち得ることができる。
だからこそ、放送中のドラマが回を追うごとに話題となり、ブームを巻き起こしていく現象に、人々はいつも夢中になっていくのではないだろうか。