萩原健一没後1年を機に学ぶショーケン流「カッコ悪いカッコよさ」<ザテレビジョンシネマ部>
「傷だらけの天使」でタッグを組んだ深作欣二監督の犯罪アクション『いつかギラギラする日(1992)』(3月5日[水]夜11:15 WOWOWシネマ)では、プロの銀行強盗に扮し、殺るか殺られるかの瀬戸際を生きる男の執念を鬼気迫る眼力で演じた。登場人物たちが虫ケラのようにバッタバッタと死んでいく、まさに敗者の美学に満ちた世界観の中、萩原は血だらけで瀕死でも、本能にまかせジタバタもがく。
惨めな姿にこそ漂う「カッコよさ」は「太陽にほえろ!」のマカロニ刑事を想起させ、既にお家芸の感すらある。
生涯を通じ、負け犬の輝きを永遠にスクリーンに封じ込めたショーケン。没後1年を機に、その演技の上での天才ぶりを、命の瞬きを、ショーケン映画に触れたことのない若い世代の人にこそ、堪能してほしい。
文=magbug
テレビ誌、女性情報誌の編集を経てライターに。30年以上ノルマに課す「テレビ放送された映画の録画」は現在1万本超え。