「世の中が『面白い』と認める人は、全部ひっくるめて“芸人”って呼んでいいんじゃないですかね」
――東野さんご自身は、YouTubeと地上波のテレビとの関係は、どのようにお考えですか?
東野幸治:今までの話で察していただけると思いますけど、僕は、YouTubeは意外と許容してるんです。
芸人さんが劇場で漫才や落語をしていた時代、ラジオというものが始まって。そこで活動の場をラジオに移した芸人は、周りから「それでも芸人か」なんて言われたと思うんです。で、その次にテレビの時代になったら、テレビで仕事をし始めた芸人は、「テレビタレントなんか、劇場でネタをやらせたら、5分ももたないぞ」なんて悪口を言われて。
結局、今もそれと同じような状況やと思うんですよ。テレビの次にYouTubeが来て、今テレビで仕事している人の中には、YouTubeに否定的な人がいるっていう、ただそれだけの話で。そんなに大した変革でもないような気がするんですよね。時代が流れてるだけっていうか。
で、そういうときの芸人の生き方として、カメレオンじゃないけど、その時代その時代に合わせて、自分の色を変えていくっていうのもありやと思うんです。もちろん逆に、色を絶対変えない芸人っていうのも、かっこええなと思いますけど。
要は、今の時代、純粋に笑えることだけを突き詰めていく人だけが芸人ではない、というか。お笑いのスキルを活かして、例えば面白いビジネスを始めたりする人も、新しいタイプの芸人やと思うんですよ。何にもせえへんけど変な毎日を送ってるヤツがいて、「こいつ、おもろいな」ってなったら、そいつもやっぱり芸人やろうし(笑)。だから、いわゆるネタをやらなくても、世の中の人が「面白い」と認める人は、全部ひっくるめて“芸人”って呼んでいいんじゃないですかね。
東野幸治・著
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