オスカー初受賞、不滅の俳優ブラッド・ピットの“肉体美”と生きざま<ザテレビジョンシネマ部>
かつて、メディアから“セックス・シンボル”とか、“世界一美しい男”とか言われて持てはやされていたブラッド・ピット。しかし、映画界にスター不在が叫ばれるようになると、彼はスター・パワーを維持したまま、製作プロ、PLAN Bを立ち上げてプロデュース業に専念し始める。
その成果が半端ないことは、関わった2作品(『それでも夜は明ける(2013)』と『ムーンライト(2016)』)がアカデミー賞作品賞に輝いたことでも証明されている。俳優業と製作者の両方を使いこなすすべは、恐らく過去にコラボしたロバート・レッドフォードやジョージ・クルーニーらから学習したものだろう。
人としての堅実な生き方は父親の影響
それ以前に、人としての堅実な生き方は、故郷のミズーリ州で運送業を営みながら貧しいながらも息子たちを育て上げた父親の影響が大きいという。2019年の9月、『アド・アストラ(2019)』の全米公開に合わせたニューヨーク・タイムズ誌の単独インタビューで出た言葉だ。
しかし、同記事でより注目を浴びたのは、「今後はプロデュース業に専念したい」という衝撃のコメントだった。でも、それは翌年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)』(以下『ワンハリ』 5月3日(日)夜9:00、WOWOWシネマほか)で第92回アカデミー賞助演男優賞を手にする前の話。『ワンハリ』の彼には、役のためなら努力をいとわない俳優として桁外れの献身ぶりが顕著で、プロデュース業に専念なんて、定期的に訪れる気の迷いとしか思えないのだ。
狂気を秘めたキャラを演技で具現化すること
レオナルド・ディカプリオが演じる落ち目の西部劇スター、リック・ダルトンに影のように寄り添うスタントマン、クリフ・ブースは、映画の前半、不気味に謎めいている。しかし、彼に妻殺しの噂があり、危険な香りが漂い始めると、がぜん、寡黙の裏にあった謎が表面化して、結果的に血塗られた終幕の引き金になる。
狂気を秘めたキャラを演技で具現化することは、初のオスカー候補作『12モンキーズ(1995)』から『ファイト・クラブ(1999)』や『スナッチ(2000)』を経て、『ワンハリ』で結実したピットのライフワークみたいなもの。
『12~』でその片鱗をうかがわせた彼が、25年後、ついにオスカーの壇上で性格俳優としての証書を手にしたわけで、スターと性格俳優の両輪は、恐らく同世代では唯一、ジョニー・デップが達成した稀有な立ち位置。スター・プロデューサーでキャラクター・アクターとなると、ほかがすぐには思い浮かばないほどだ。
[放送情報]
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
WOWOWシネマ 5/3(日・祝)よる9:00
WOWOWプライム 5/10(日)午後3:45
WOWOWシネマ 5/15(金)よる9:00
WOWOWシネマ 5/24(日)午後1:15
WOWOWシネマ 6/5(金)深夜0:50
WOWOWプライム 6/13(土)午後5:15
「トロイ」
WOWOWシネマ 5/24(日)よる6:15
WOWOWプライム 6/8(月)深夜2:15
「ザ・メキシカン」
WOWOWシネマ 5/24(日)午後4:00
WOWOWプライム 6/17(水)午後5:00