日本アニメが愛される理由とは?クリエイターで観る日本の良質アニメ3選<ザテレビジョンシネマ部>
日本が世界に誇る「強み」の一つは、アニメだ。…なんてのは、今さら声を大にして言うことではないかもしれない。ディズニーやピクサーの作品はもちろん、『失くした体(2019・仏)』や『スパイダーマン:スパイダーバース(2018・米)』など、各国から傑作が多数生まれている。
では改めて、日本のアニメはどこが秀でているのだろう? あくまで私見だが、それは2Dにおける描き込みや美しさではないだろうか。ハリウッドのアニメは3DCGに強く、ヨーロッパのアニメはファインアートを源流とする絵作りや、感性重視の表現が特徴的だ。対して日本は、美麗・壮麗・流麗な作品――つまり、色彩表現の豊かさ、動きの滑らかさ、画面の密度が突出しているように感じる。
今回紹介する3作品は、いずれもそんな「長所」を強く感じさせるものたち。どの作品も名だたるクリエイター陣によって創出された。
“まるで異世界!?” 原恵一監督作『バースデー・ワンダーランド』
まず1本目は『バースデー・ワンダーランド(2019)』(5月13日(水)夜7:00、WOWOWプライムほか)。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001)』や『カラフル(2010)』など、「大人も泣かせる」作品を得意とする原恵一監督の最新映画だ。
色彩豊かな異世界に飛び込んだ少女の冒険を描く本作は、冒頭の花々の表現からして別格。トーストにバターやマーマレードを塗るシーンは、まるで実写のようだ。その後、主人公が異世界に降り立つと、一層画面が華やぎ、場面が移り変わるごとに見事な色彩に目を奪われる。ただ美しく鮮やかなだけでなく、出てくる調度品や衣服など、一つ一つの“手触り”や“質感”までも感じられるのが恐ろしい。主人公と同じく、異世界に入り込んだ錯覚をさせられてしまうだろう。
『バースデー・ワンダーランド』では、キャラクターデザインを『攻殻機動隊 SAC_2045(2020)』にも携わるロシア出身のイラストレーター、イリヤ・クブシノブが手掛けている。気鋭のアーティストとのコラボレーションにも、注目していただきたい。
“躍動感あふれる表現!” 湯浅政明監督作『きみと、波にのれたら』
続いて、国内外に多数のファンを持つ湯浅政明監督による『きみと、波にのれたら(2019)』(5月24日(日)夜9:00、WOWOWシネマほか)。『四畳半神話大系(2010)』、『ピンポン THE ANIMATION(2014)』、『映像研には手を出すな!(2020)』などを手掛けてきた彼の武器は、イマジネーションあふれる世界観と表現力だろう。
愛する恋人が、海で命を落とした。失意に沈む女子大学生だが、水の中で恋人と再会する。少年と人魚の出会いを描く『夜明け告げるルーのうた(2017)』にも見られる、湯浅監督らしい生命力あふれる水の表現や、画面から飛び出してきそうな躍動感あふれる人物の動きに、ロマンティックなラブ・ストーリーが加わった。
[放送情報]
「バースデー・ワンダーランド」
WOWOWプライム 5/13(水)よる7:00
WOWOWシネマ 5/25(月)午後3:15
WOWOWシネマ 6/6(土)午前5:15
「きみと、波にのれたら」
WOWOWシネマ 5/24(日)よる9:00
WOWOWプライム 5/27(水)午後5:20
WOWOWシネマ 6/4(木)午後3:00
「甲鉄城のカバネリ 総集編{前編}集う光」
WOWOWシネマ 5/29(金)よる9:00
WOWOWシネマ 6/8(月)午前11:50
「甲鉄城のカバネリ 総集編{後編}燃える命」
WOWOWシネマ 5/29(金) よる10:55
WOWOWシネマ 6/8(月)午後1:45
「甲鉄城のカバネリ 海門決戦」
WOWOWシネマ 5/29(金) 深夜0:45
WOWOWシネマ 6/8(月)午後3:35