『マンマ・ミーア!』シリーズでABBAの名曲を堪能!鳥肌モノの「悲しきフェルナンド」ほか『続編』を完全解説<ザテレビジョンシネマ部>
1970年代に黄金時代を築いたスウェーデンのポップ・グループ、ABBAの楽曲で構成されたミュージカル舞台を映画化した『マンマ・ミーア!(2008)』(5月23日(土)夜6:00、WOWOWシネマ)。
その世界的ヒットから10年ぶりに作られた続編『マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー(2018)』(5月23日(土)夜8:00、WOWOWシネマほか)は、前作の過去と未来を同時に描くオリジナル・ストーリー。
舞台で歌われていながら前作には登場しなかった曲も盛り込まれ、ABBAファンにはもちろん、舞台版のファンや前作のファンにもたまらない選曲になっている。
前作の作品世界が引き継がれたオープニング
オープニングは、ソフィ(アマンダ・セイフライド)が口ずさむ「サンキュー・フォーザ・ミュージック」。前作のエンド・クレジット最後の曲でもあり、作品世界が引き継がれている。
ABBAがラストツアーのために作った曲で、メンバーがミュージカル制作に興味を抱くキッカケとなった意義深い曲。前作のオープニング同様、ここでソフィが3人のパパにホテル改装パーティーの招待状を出す。
場面は1979年の英オックスフォードに飛び、若かりし日のソフィの母、ドナ(リリー・ジェームズ)がさっそうと登場。学校の卒業式でガウンを脱ぎ捨てるとABBA風のド派手な衣装に変身し、親友2人も交え “ダイナモス”として「ホエン・アイ・キッスト・ザ・ティーチャー」を熱唱。
この衣装は寮のカーテンを素材にした3人のお手製という設定で、この後の場面でチラッと写るカーテンがボロボロなのにも注目!
ギリシャとNY、離れた場所にいるソフィと夫・スカイ(ドミニク・クーパー)が隣り合わせの部屋セットでデュエットを聴かせる「ワン・オブ・アス」を挟み、若き日のドナとハリー(ヒュー・スキナー)の出会いが描かれる。
パリのカフェでハリーがドナを口説きながら歌う「恋のウォータールー」は群舞とカメラワークが往年のMGMミュージカル調で楽しい。ナポレオンが破れたワーテルローの戦いに恋のバトルをなぞらえたこの曲らしく、バゲットを剣に見立てたダンスはユーモアたっぷり。
若き日のドナとビル(ジョシュ・ディラン)の出会いが「ホワイ・ディド・イット・ハフ・トゥ・ビー・ミー」に乗って軽快に描かれた後、ドナはいよいよギリシャにある運命の島、カロカイリ島に到着。後にホテルを経営することになる建物で、希望に満ちた「アイ・ハヴ・ア・ドリーム」が歌われる。
やがて嵐が訪れ、若き日のサム(ジェレミー・アーヴァイン)と出会うのだが、ここで現在のサム(ピアース・ブロスナン)とソフィの姿が重なり、サムが時を超えて母と娘を支えていることがさりげなく語られる。
代表曲「ダンシング・クイーン」が流れるクライマックス
「きらめきの序曲」、舞台版でのサムのテーマ「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」で若き日のドナとサムの短い恋が終わった後、ドナのアカペラから始まるのがタイトル曲の「マンマ・ミーア」。
前作ではドナ(メリル・ストリープ)が元彼3人との再会に「マンマ・ミーア=何てこと!」と驚くコミカルな場面で歌われたが、今回はその歌詞の続き「Here we go again=またハマッてしまった」からインスパイアを受け、若きドナが“ダイナモス”に力をもらい失恋から再生していくさまをはつらつと描く。
ABBAファンお待ちかねの代表曲「ダンシング・クイーン」がかかるのは、招待客が14隻もの船団で現れる中盤のクライマックス。
コリン・ファースとステラン・スカルスゲールドが男女役どっちをやるかでモメたという“タイタニックごっこ”をはじめ、底抜けに明るい歌とダンスで祝祭感あふれる場面だ。彼らの登場で、物語は佳境へ。
出色は、ドナの母・ルビー役で初登場したシェールが歌う鳥肌モノの「悲しきフェルナンド」。すべてを圧倒するディーバのハスキー・ボイスで、あるキャラクターとの過去が明かされるワケだが、ここは壮大な前フリが効いていて感動と同時に爆笑も必至だ。
『マンマ・ミーア!』シリーズ最大の見どころでもあるカーテンコールに今回選ばれたのは「スーパー・トゥルーパー」。シェールのソロから始まり、オールキャストが勢ぞろいしてレッツ・ダンス!
前作でも“ダイナモス”がパーティーで披露したハッピー・チューンで、家族の物語は大団円を迎える。キャスト(の特に男性陣)が「恥を捨てた」というアゲアゲダンスを見たら、きっと一緒に歌い踊りたくなるはず!