「エール」裕一&音“夫婦の絆”に視聴者涙…!朝ドラにおける“夫の役割”を考える
女性が“やりたいことを諦めない”人生を送るために
女性が尽くすパターンとしては、「エール」と同じ男性主人公の「マッサン」(2014年度後期)。最初は夢ばかり追っていささか危うい夫・マッサン(玉山鉄二)を妻エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)が内助の功を発揮して支え続け、事業は拡大していく。
朝ドラではヒロインの父はたいてい甲斐性なしとして描かれるが、その分、夫はいい人だったり尽くし甲斐があったり(成果の出る)する人物なのである。
近年、稀なるダメ夫は、「半分、青い。」(2018年度前期)の涼次(間宮祥太朗)。映画の仕事をしたいから別れてほしいと、子供まで成したにもかかわらず言い出すというダメっぷりで、ヒロイン鈴愛(永野芽郁)の「死んでくれ!」と言う台詞は大反響だった。
一見ダメ夫に見えるが、人気がものすごく高かったのは、「あさが来た」(2015年度後期)。ヒロインあさ(波留)が女実業家として活躍する一方で、夫・新次郎(玉木宏)はふらふらと遊んでばかり。
だがしかし、新次郎はあさの仕事に余計な口をはさまず、精神的にあさを盛り立てていく。近年の朝ドラでは、男が働き、女が家事をすることが絶対ではないことを明確に書いた快作であった。
「スカーレット」の八郎も、「なつぞら」の一久も、「エール」の裕一も、新次郎の作り上げたひとつの理想の夫道の後ろを歩いているといえるだろう。それは、女性がやりたいことを諦めない人生を送るための手助けをすること。新次郎、偉大なり。
はたして、「エール」の裕一は、ほんとうに音を大きな舞台に立たせてくれるだろうか。