山崎賢人主演映画「劇場」が7月17日(金)に公開決定!Amazon Prime Videoで同日に配信開始
ポン・ジュノ監督コメント
「劇場」は個人的に親しい韓国の演劇人夫婦の実話を、そして私自身の助監督時代を回想させる作品でした。そのような意味でより一層面白く感じられる映画でした。
薄氷の上を一緒に歩いているかのような心もとない愛の物語、そんな愛だからこそより切ない物語、しかし最後まで壊れることのない愛の物語だと思います。
一方で、この作品は成長と克服に関する物語でもあると思います。はてしなく長く、終わりの見えないある時期を乗り越えていく物語ですが、青春期の男女の感情の繊細な調律師である行定監督ならではの熟練した、老練な腕前(力量)を再確認させてくれる作品でした。
映画の様々な場面が印象に残っていますが、特に回り続けるスクーターのシーンは忘れられません。同じコースをぐるぐる回るスクーターと、それに合わせてヒロインの沙希の表情が変わっていく様は本当に素晴らしかったです。男女の関係を一つのシーンに明確に圧縮した、まさにシネマティックな名場面だと思います。
また夜通しサッカーゲームをした後、沙希が朝出勤していくシークエンスも名場面でした。そして、一緒に荷造りをする場面は、なぜ2人のアパートが角部屋で窓が2つなのか、その理由を如実にみせてくれる素晴らしい場面だと思います。2つの窓のカーテンが開かれ、日差しが降り注ぐ瞬間がとても印象的でした。
山崎賢人さんは不確かな天才から醸し出される不安感、不確かな天才に向けて沸き起こる憐憫、そのすべてを可能にしました。松岡茉優さんは天使の安らぎと、反対に天使からもたらせる息苦しさの両面を見事に表現していたと思います。
ストーリーの90パーセント以上を主人公の男女が引っ張っていく作品ですが、2人の俳優の演技が素晴らしく、本当によかったです。
この作品はまさに行定監督にしか作り得ない、長くも繊細な愛の物語であるという点で非常に印象深かったです。
またこの映画は、クリエイターあるいは芸術家が抱く不安や苦痛、偏狭さや卑怯な一面をリアルに描いており、その否定的な感情を乗り越え、成長に導いていく自己省察と忍耐までも描かれています。それは同じ作り手という立場にとって、一層胸に迫るものでした。ありがとうございました。
※記事内、山崎賢人の「崎」は正しくは「立さき」
映画「劇場」
7月17日(金)全国ロードショー
<スタッフ>
原作:又吉直樹著「劇場」(新潮社)
監督:行定勲 脚本:蓬莱竜太 音楽:曽我部恵一
配給:松竹、アニプレックス
<キャスト>
山﨑賢人、松岡茉優
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【Amazon Prime Video配信ページ】 https://www.amazon.co.jp/dp/B08BJDP37F
(C)2020「劇場」製作委員会