“天敵以上、恋人未満”な二人にキュン
東海林の本社復帰により、前作でも丁々発止のやりとりを繰り広げた2人の絡みがまた1時間枠の随所で見られることは、ファンとして素直にうれしい。
「課長!この枯れた“まりも”はいつまでここで油売ってるんですか⁉」(春子)、「これは“まりも”じゃねえ!地毛だ!」(東海林)、「失敗は…そのくされ“まりも”だけにしてください!」(春子)、「くされまりも?くされまりもって何だ!」(東海林)
トレードマークの“天然パーマ”に大泉の出身地・北海道も絡めて全力でいじる春子と、そのいじりをこれまた全力で受け止める東海林の小気味よいやりとりは、どこまでがセリフでどこからアドリブなのか分からないほど生き生きとしていて何だかうらやましい。大人になると、こんなに全力で受け止めてくれる相手はそう見つかるものじゃない。
そして5話では、ネタバレになるので詳しくは言えないが、13年前のエピソードも登場する。
「俺が本当に結婚したいのはおまえだ」と春子に熱い思いをぶつけた東海林(前作・第8話)。肝心のところでうそがつけずに社長賞を逃し、名古屋の関連会社に出向になった東海林と、その東海林を追い掛けて名古屋まで出向き「今度はあなたに社長賞を取っていただきます。そのためにこんなところまでやってきましたが、何か?」「私を雇っていただけますか?」と“逆リクルート”した春子(同・第10話)。
こんな切なくもいとおしいエピソードを持つ二人が再会し、今また丁々発止のやりとりを繰り広げている…その事実にキュンとさせられる。
ともあれ、東海林の本社復帰で「ハケンの品格」の最後のピースがぴたりとはまったのは間違いない。
果たしてこの“天敵以上、恋人未満”な関係は今シリーズで進展するのか、それとも今の感じでずっと続くのか…この結末はきっと、“ジグソーパズル検定1級”を持つ大前春子にも解けないに違いない。
文=福田歩