菅田将暉、「(妻と娘の)幸せな姿を見て泣くというのは究極だった」<映画「糸」連載その2>
想像に想像を重ねなければいけなかった
――平成元年生まれの漣と葵は、13歳で出会い、21歳、30歳で偶然再会します。演じていて難しかった部分はありましたか?
ここまで長いスパンの人生を丁寧に演じるのは初めてでした。今の時代、特殊メークもあるのでいろいろできますが、それでも役者にも限界があると感じました。特に男性にとっての20代の10年はそこまで外見に変化がないんですよ。周りの環境や出来事でその人物の成長を表現することはできるのですが、漣が地元で変わらずの生活をしているのでそこも変化がなく…。
葵を見ていて、20代の大人になっていく感じは女性にしか出せない姿なのかもと感じました。女性がメークや衣装でどんどん大人になっていくのは本当にすごいですから。だからこそ内面を表現することを意識しました。
――漣は香(榮倉奈々)と結婚して父親にもなりました。
榮倉さんとのシーンは難しいことも多かったです。中でも娘と妻の何気ない楽しげな姿を見て涙ぐむシーンは、結構試練だと感じました。本格的な父親役は初めて、ということもありましたし、想像に想像を重ねなければいけなかったので。幸せな姿を見て泣くというのは究極ですよ。
――香が歌う中島みゆきさんの「ファイト!」も印象的だったと語っていらっしゃいました。
すごく個人的で瞬間的な歌詞の曲なんですが、それが登場人物の感情や生活に集約されていると感じました。この作品にぴったりだなって。ちなみに香と幼なじみの竹原(成田凌)と利子(二階堂ふみ)の4人でカラオケに行くシーンがあるのですが、それがすごく好きです。宿泊先のホテルにカラオケがあったのですが、それぞれがずっと練習をしていて、なんか見ていてほのぼのしました。
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