「怪談 牡丹燈籠」の歌舞伎公演は暑さも忘れるド迫力!
WOWOWでは、7月に続き3カ月連続で、歌舞伎公演の模様を紹介。8月20日(土)には、5月3日~27日に東京・明治座で「明治座 五月花形歌舞伎」と銘打って上演された「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」を放送する。
同作は、 幕末から明治にかけて活躍した落語家・三遊亭円朝の怪談ばなしが元となっている。物語は、牡丹燈籠を手にした女の幽霊・お露が、浪人・萩原新三郎を慕って夜な夜な現れ、彼をとり殺してしまう話が軸となる。そこから、彼らを取り巻く金や愛への欲望から、破滅へと向かう2組の男女の人間ドラマを描く。新三郎とお露、新三郎を陥れる伴蔵とお峰の夫婦を、市川染五郎と中村七之助がそれぞれ2役に挑戦。
1人2役だが、染五郎は、新三郎を演じるときは優男といった役柄を、伴蔵役では威勢の良い様子と、それぞれの役柄に合わせて、声色や動き、雰囲気までもが見事に異なっている点に注目。七之助も、お露を演じる時ははかない雰囲気を、対してお峰の時は、気立ての良い役柄を演じ分けている。また、伴蔵とお峰が幽霊をこわがる場面などのコミカルなやり取りも見どころの一つ。さらに、同作の中であらすじを語る三遊亭円朝を中村勘太郎が演じる。
染五郎は、同作について「“怪談 牡丹燈籠”といえば“怖い話”というイメージで皆さん知っているかと思いますが、実はすごくスケールの小さい物語だと思うんですよね。お金に困っている夫婦が生活のことや夫の浮気のことで延々と口げんかしていたり、お金に目がくらんでつい悪事をはたらいてしまったり…。“今の時代にもある”と感じてくださるお客様が多いと思います」と現代にも通じる物語であることを言及した。
一方、七之助は、歌舞伎の見どころを「“全てがアナログ”ということに尽きると思います。せりふも演奏も全部“生”ですし。大道具の動きも全部“人の手”で作られている。コンピューターを使ってショーアップしているものと違って、アナログをどんどん突き詰めていくところに歌舞伎の面白さがあると思います」と語った。そのコメント通り、登場する小道具や光の演出、迫力ある殺陣のシーン、また役者の表現豊かな芝居など、“アナログ”ならではの魅力が詰まった作品に仕上がっている。
「怪談 牡丹燈籠」
8月20日(土)昼0:00-2:45 WOWOW(WOWOW2、3も)で放送