初のオリジナルアルバムをリリース!上白石萌音「やっぱり、歌っているときが幸せなんです」
いろいろなアーティストさんがレコーディングに立ち会って指導してくださって……すごく贅沢ですよね
初めてのオリジナルフルアルバム『note』は10曲入り。野田洋次郎(RADWIMPS)、大橋トリオ、水野良樹(いきものがかり)、YUKI、n-buna(ヨルシカ)といった豪華なアーティスト陣の名前が作詞作曲クレジットに並んでいる。
「全曲、上がってくるデモ音源のクオリティーが高すぎて、それを私が歌い直すというプレッシャーがつきまといました(笑)。その度に、『この曲の素晴らしさを損ねてしまわないように』という、リスペクトゆえの緊張感があって。曲が持つパワーがすごかったので、私は余計なことしちゃいけない。それで、とにかくニュートラルにフラットに歌ったレコーディングでした」
上白石萌音の歌というと、映画「君の名は。」(2016年)の主題歌の一つである「なんでもないや」のカバーをはじめ、スローテンポの曲のイメージが強いが、『note』には橋本絵莉子(元チャットモンチー)が手掛けた「白い泥」や、GLIM SPANKYが手掛けた「From The Seeds」といったアップテンポのロック曲も収録されている。
「普段はゆるゆると生きている人間なので(笑)、縦のテンポを意識して歌いました。『白い泥』は橋本さんの声でデモが届いたので、『わ、チャットモンチーさんだ!私はどう歌ったらいいんだろう』とプレッシャーで(笑)。あと、GLIMさんも元々大好きで、激しめのロックも全く遠かったわけではないんですけど、やっぱり新しいスキルは必要でした。とにかく取り残されないように、ご指導を仰ぎながらやらせてもらいました。元々GLIMの(松尾)レミさんってめちゃくちゃ歌のレンジが広い方なのでドキドキしていたのですが(笑)、『From The Seeds』は私の音域を考えて、歌いやすいストレートな曲を書いてくださいました。今まで歌は割とロジカルに捉えて、譜割りやテンポ、後ろで鳴ってる楽器を含めて全体的にどういう世界観が良いのか考えて歌っていたんですけど、レミさんが『心の底から出てきていればなんでもいい』と熱いことを言ってくださって。難しいことにとらわれずに本能的に歌うのが新鮮で、解放された感覚がありました。1オクターブ下でレミさんがハモリを入れてくださって、そしたらぐっとGLIMっぽさが出た。『私一瞬だけでもGLIM SPANKYに参加できてる感じがする!』って思って嬉しかったんです。どの曲もそういう理性と衝動のバランスがすごく大事な気がしました。いろいろなアーティストさんがレコーディングに立ち会って指導してくださって……すごく贅沢ですよね(笑)」
中でも特に印象的だったのが「Little Birds」を提供した、大橋トリオこと大橋好規とのレコーディングだったそう。
「曲の作り方がすごく音楽的だったんです。大橋トリオさんの曲は、歌が曲に融合しててすっと入ってくるところが私も好きなんですけど、曲の全体像が第一で。『あ、こういう風に作るからああいう曲が生まれるんだ』って過程を知れたことがファンとしてたまらなかったです。すごく冷静に聴覚を研ぎ澄まして、少しずつディレクションしてくださって、言葉の一言一言がとても音楽的で。同じことが同じレベルで私にできるわけはないけど、心構えとしてこの感覚は忘れずに持ってたいなって思いました。大橋さんには私の状態や考えていることが全部バレるんです(笑)。でも、包容力があって温かくて。歌のレコーディングが終わって、ブースから皆さんのいる部屋に戻る度に顔をくしゃっとして迎えてくれるんです。『幸せ!』って思いました(笑)」
収録曲●白い泥/土砂降り/永遠はきらい/From The Seeds/あくび/スターチスほか全10曲
かみしらいし・もね=1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。舞台「ナイツ・テイル‐騎士物語‐」「組曲虐殺」、ドラマ「恋はつづくよどこまでも」(TBS系)など女優としても幅広く活躍中。吹き替えを務めた「トロールズ ミュージック★パワー」が10/2(金)公開。9/19(土)には、初のオンラインライブ「i note」も開催する