毒舌弁護士・荒牧慶彦が難事件に挑む! 痛快リーガル朗読劇「法廷の王様」を“傍聴”してみた
朗読劇らしからぬ演出が見どころ!
法廷を模したセットが板の上に広がる中、物語は深夜の法廷に霧島、雨宮、朝倉(鈴木勝吾)らが集うところから始まる。
語られるのは、とある事件の輪郭。遮断機のない通称“勝手踏切”で女子高生が何者かに背後から押し出され、死亡する “女子高生踏切殺人事件”だ。
事件から数日後、彼女の異母兄である青年が逮捕された。状況証拠、さらに自供があることから、青年の有罪はほぼ確実――という、弁護士としては難しい事件。霧島はこの事件に違和感を覚え、「自分なら無罪にできる」と豪語するが、かたくなに担当しようとはしない。
そんな彼を見かねた朝倉の計らいで霧島と雨宮はこの事件を担当することとなり、朝倉や吹越未来(重留真波)と共に、刑事記録を一つ一つ検証していく。さらに被害者と同じ高校に通う霧島の妹・花蓮(鈴木みのり)をも巻き込んで、少しずつ事件の真相が浮かび上がっていくのだが…。
リーディングステージと謳われているものの、ステージ上を縦横無尽に使い、アクションを交えながら物語が紡がれる様は、ほとんど舞台と変わりない印象を受けた。加えて演出を務める西田氏の作品ではおなじみの、鮮烈な暗転や音楽使いは本作でも健在。特にクライマックスの法廷シーンでは、スリリングながら爽快な演出で事件の真相が暴かれてゆく。
一方、キャスト自身が“ト書き”を読み上げたり、交代で何役も演じたりする演出は朗読劇ならでは。思わず「役者ってすごい!」と言いたくなる、圧巻の演じ分けは必見だ。
主演の荒牧は、傲岸不遜にして毒舌、けれど一度法廷に立てば負け知らず…という“毒舌イケメン弁護士”を好演。高飛車なセリフがキリリとハマりながら、時おり過去の傷や妹への愛情といった繊細な部分が垣間見え、キャラクターをより一層魅力的に際立たせている。
もちろん荒牧のみならず、かわいらしさと芯の強さが共存する植田、見事な声の使い分けにも注目の鈴木みのり、女弁護士姿が凛々しい重留、大人の余裕を感じさせる鈴木勝吾と、それぞれのキャストが魅力的かつパワフル。果たして彼らがたどり着く真実とは何なのか、ぜひ“傍聴席”から見届けよう。
【公演期間】2020年8月28日(金)~31日(月)
※8月31日(月)夕方5時~の千秋楽公演はライブ配信を実施
【キャスト】荒牧慶彦、植田圭輔、鈴木みのり、重留真波、鈴木勝吾
【原作】間宮夏生「法廷の王様 弁護士・霧島連次郎」(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)
【脚本・演出】西田大輔
【企画・製作・主催】リーディングステージ「法廷の王様」製作委員会
※リーディングステージ「法廷の王様」公式サイト:http://www.readingstage-courtking.com/
※リーディングステージ「法廷の王様」公式Twitter:@rscourtking