原作と“変わらない”ということが作品の魅力
――第5作まで続く、“佐方貞人シリーズ”の魅力とは何だと思われますか?
やはり、柚月さんのお書きになる原作の確かさや、それに基づくミステリーとしての魅力は、何より大きいことだと思います。それと同時に、“変わらない”ということだとも思います。
佐方という男は、一貫して「いかに罪と向き合うべきか」という姿勢に全くブレがない。それが、安心感というか安定感となって作品を支えているからこそ、ご覧になってくださる方にも、「検事・佐方」という物語をブレなく楽しんでいただけるのではないかと。
その揺らぎなさは、この作品が持っている大きな柱の一本だろうと思っています。
――これまで、演じてきた佐方と上川さん自身の似ている部分はありますか?
僕と佐方には、似ている部分は何もないと思っています。むしろ、これほどまでに揺るぎない佐方のように生きてみたいとすら思います。あそこまで振り切った生き方ができたら、いっそ心地よいだろうと(笑)。
それは、子どもたちが日曜日の朝に戦隊ものや変身ものを見ているのと同等の目線ですし、距離感です。
でも、この目線があるから迷いなく佐方と寄り添えますし、演じることもできるのだろうと思っています。
――それでは、最後に読者の方へメッセージをお願いいたします
検事・佐方も5作目を数えて、より皆さまに楽しんでいただける作品作りを目指しています。
今回は、覚醒剤を巡る事件から端を発して、物語は意外な方向に転がっていくという、これまでとはまた少し趣向の変わった、ある意味純粋なミステリー作品として楽しんでいただけるような物語になっていると思います。
佐方と、その仲間たちがこのミステリーにどう挑むのか、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。