三吉彩花、女性同士の曖昧な友情を体現「いつもの役作りとは少し違ったかもしれません」
自分の共通点を探すというよりかは、小春としてその場にいたいと思った
――彩乃役の阿部純子さんとは撮影に入る前から連絡を取られていたそうですね。
これは私から提案させていただいたんですが、この映画のクランクイン前に純ちゃんと会い、実際に撮影を行ったマンションの部屋で一緒にお昼ご飯を食べました。それこそ本当に2人で部屋の鍵を開けて、一緒に買ってきたご飯を食べ、部屋のソファーでダラダラ過ごしながら話をするという。小春と彩乃そのままの時間を過ごさせてもらったのは大きかったと思います。
――三吉さんと小春に共通点はありますか?
今回は小春と自分の共通点を探すというよりかは、小春としてその場にいたいと思ったので、いつもの役作りとは少し違ったかもしれません。せりふに関しても、監督から脚本に一言一句合っていてなくてもニュアンスが伝わればいいと言われていたので、それこそテストと本番で全く違う芝居になることも多かったです。繰り返しになってしまいますが、それができたのは撮影前に純ちゃんと過ごす時間が持てたこと、彼女が彩乃として現場にいてくれたからこそだと思います。
――ということは、演じる上での苦労はなかった?
私よりも純ちゃんの方が大変だったと思います。というのも、彩乃は女性にとって大きな出来事である妊娠を経験するので、そこは現場でもかなり悩んでいました。妊婦さんとしての所作もそうですし、お腹が大きくなってきたときに手がしびれてお皿を割ってしまうシーンとか、私もそうですが、純ちゃんも経験してないことが多く、分からないことが多かったので。私自身も小春として生きていたので、そんな彩乃に声をかけてあげる方がいいのか、そっとしておいた方がいいのか、受け止め方に関しては悩みました。
――小春は彩乃の妊娠に対して最初は戸惑いますが、彼女をそばで支えていくことを決意します。もし三吉さんが親友から妊娠を告げられたら、どういう対応をすると思いますか?
私も想像してみましたが、実際にそうなってみないとわからないなと思いました。小春も最初は一人で生んで育てるという彩乃に対して「現実的じゃない」と反対しますが、そこには小春の複雑な思いも入っているのかなと。それこそみんな人間なので、喜怒哀楽があるのと同じで、80%肯定していても、どこかで否定的な感情が生まれることってあると思うんです。そういう小春の気持ちは理解することができました。
9月18日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
脚本・監督=津田肇/出演=三吉彩花、阿部純子、
黒谷友香、大方斐紗子、鶴見辰吾、大塚寧々ほか