AKBグループの“48”から坂道シリーズの“46”で差し引かれた“2”の正体とは――「二項対立」から「全員選抜」へ
アーティストやアイドルグループのドキュメンタリー映画が珍しくなくなってきた昨今、2020年の夏は8月に日向坂46の「3年目のデビュー」、9月に欅坂46の「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」が公開された。
彼女たちの“先輩”に当たるAKB48はドキュメンタリー映画第1弾を2011年(※姉妹グループのSKE48、NMB48、HKT48の作品も後に公開)、乃木坂46は2015年に公開し、それぞれグループ初期の様子を映し出している。
2010年代はAKB48がつくったアイドルブームを、同じ秋元康氏プロデュースのグループが次々に席巻したが、そこに“流れ”のようなものは存在するのだろうか。
各グループの初期の特色から、今に至るその“流れ”を探る。
“二項対立”の図式で大きな盛り上がりを生んだAKB48
2005年に活動を開始したAKB48。「劇場公演」や「握手会」以上に世間のイメージが強いのは、やはり「選抜総選挙」だろう。
AKB48はメジャーデビュー以降、シングル曲は卒業まで前田敦子がセンターを担った(※Wセンター含む。また、「選抜総選挙」と「じゃんけん大会」による選抜決定曲を除く)。
この運営スタッフが決めるシングル歌唱メンバーにファンが異を唱えたことに端を発し、開催されたのが「選抜総選挙」だ。2009年の第1回から2011年の第3回では、前田敦子と大島優子が1位の椅子を争った。
また、第6回から第9回では渡辺麻友と指原莉乃が頂点を競うなど、AKB48はこの“二項対立”の図式を用いて大きな盛り上がりを見せていった。
姉妹グループにおいては、SKE48の“W松井”(松井珠理奈、松井玲奈)、NMB48の“さやみるきー”(山本彩、渡辺美優紀)などのペアリングが組まれると、二つを提示されると一つを選びたくなるのが人のさがなのか、“どっち派か”という点において競争意識を持つファンも見られるようになった。
そのときの色に合わせてセンターが変わる乃木坂46
“AKB48の公式ライバル”という名目でオーディションが行われ、「AKB48より人数が少なくても負けないという意気込み」(秋元氏)で“46”を冠した乃木坂46は2011年に結成。
デビューシングル「ぐるぐるカーテン」から5thシングル「君の名は希望」までのセンターは生駒里奈が務めたが、以降のセンターは作品によって変わっていき、フロントメンバーはその人数に合わせて“○福神”と呼ばれ、今も発表ごとにファンの注目を集めている。
また、「選抜総選挙」のように大規模ではないが、第1幕で出演メンバーが自己PRを行い、観客が幕間に投票、その投票で選出されたメンバーが第2幕に出演する「プリンシパル」という舞台公演がたびたび行われている。