AKBグループの“48”から坂道シリーズの“46”で差し引かれた“2”の正体とは――「二項対立」から「全員選抜」へ
欅坂46というイメージの“依り代”になった絶対的センター・平手友梨奈
2015年に活動をスタートした欅坂46は、デビュー曲「サイレントマジョリティー」(2016年)がそれまでのアイドルと一線を画していると話題になり、卓越した表現力を持った平手友梨奈が絶対的なセンターとしてそのイメージの“依り代”となった。
また、その一方でAKB48グループや乃木坂46とは異なり、シングル楽曲では8thシングル「黒い羊」まで全員選抜制を採用。
2019年に発売予定だった9thシングルは、選抜メンバーによる表題曲となっていたが発売延期となり、そのままシングルとして発売されることなく、グループは2020年10月に活動休止し、改名して再始動することとなった。
全員で前を向いて歩いていく日向坂46
元々、欅坂46のアンダーグループ“けやき坂46(ひらがなけやき)”として誕生し、2019年2月に現グループ名へ改名、同年3月にシングル「キュン」でデビューした日向坂46。
「キュン」から最新シングル「ソンナコトナイヨ」まで、センターは4作全て2期生の小坂菜緒が務めているが、歌唱メンバーは欅坂46同様、全員選抜制。
“けやき坂46”の頃から1期生・佐々木久美を中心に一丸となって前を向くその姿を、ドキュメンタリー映画の監督を務めた竹中優介氏は「全員で幸せになろうしているグループ」(※WEB「ザテレビジョン」8月7日掲載「日向坂46は『競争ではなく全員が肩を組んで進んでいる』<映画「3年目のデビュー」監督Interview>」より)と語っている。
AKB48グループにも“全員選抜”を取り入れる動きが
AKB48グループの前田敦子と大島優子の“二項対立”から始まり、欅坂46と日向坂46の“全員選抜”に至った秋元康氏プロデュースグループ。どのグループにもセンターは必ずいるものの、楽曲を歌う“選抜”に関しては様相が変わってきている。
現在はAKB48グループの“後輩”グループでも、NGT48が「シャーベットピンク」(7月22日発売)、STU48が「思い出せる恋をしよう」(9月2日発売)と、全員選抜制が採用されるようになった(※STU48はType Aに1期生とドラフト3期生、Type Bに2期研究生が歌う表題曲MVが収録されるという形式)。
確かに“二項対立”を大きな軸とした「選抜総選挙」は大きな注目を集めるきっかけとなったが、メンバーには精神的負荷、ファンには金銭的負荷を強いるイベントだったことは否めない。競争の要素を薄くした“全員選抜”(その中での“序列”の話は別にあるのだが)を用いて、メンバー全員で盛り上がりをつくっていくという動きが、長いスパンを見据えたサステナブルな活動として主流になっていくのだろうか。
とはいえ、“先輩”グループは所属する人数も多く、全く同じように全員選抜の形でシングルをリリースすることは難しいように思える。それでも「選抜」「非選抜」という“国境”のない時代がやって来るのか、今後の動向に注目したい。