不気味さの正体は「ホトケ感を出すアルカイック・スマイル」
――役づくりをする上で心掛けたことは?
この作品をやる上で、まずは原作を読んだんです。原作にリスペクトを捧げて、あの世界観をちゃんと踏まえた上で、原作とスピリットは同じだけれど、ちょっとオリジナルを入れていければいいなと思いました。
ドラマでは、正体が明かされる3話のラストまでは、片桐ともをだと思わせないといけない。けれども、原作漫画の中で鬼形礼は摩訶不思議な経験をたくさんしていて、あらがえないものに対して希望を持って行動したけど結局駄目で、最終的には恐怖新聞の配達人になってしまう。
自分がそこに行き着かなければいけなかった、何か運命みたいなものがあった人。普通そういう体験をしたりすると絶望して、この世界や人間に対して達観したような感じになってしまうと思うんですよね。だから僕は少しホトケ感というか、この世界や人間に対して思念があり、俯瞰している部分がある鬼形礼を、アルカイック・スマイル(ギリシア初期の彫像や日本の飛鳥時代の仏像に見られる微笑)で表現できないかなと思いました。そういう表情や佇まいで、「お隣のともをくんは、病気しているのかな? 引きこもっているのかな?」って、視聴者の方々をミスリードすることができるんじゃないかなって。
また同時に、“独特で不思議な雰囲気”にも見えるように、登場時のファースト・インプレッション(第一印象)から、いろんな見方ができるといいなと思って演じていました。
――中毒性がある本作の中で、中毒性の塊のような役ですよね?
話が進むにつれてどんどん正体が明かされて、何が本当であるかも分からない。でも最後には謎が解けて、全てが明かされるという。いろんなところに伏線が隠されていて、最終話まで見たら、もう一回最初から見たくなる作品だと思います。
僕の役だけでなく、いろんなキャラクターの謎がどんどん明かされていくので、いろんな想像をして見ていただきたいですね。僕は、全ての表情・行動・言い回しに意味を持たせて演じて、後から見たら「アレはこういうことだったのか!」っていう気付きのタネを毎回まいているつもりです。それを視聴者の皆さんに楽しんでいただければ幸いです。